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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 46

「違うっ!?私っ!これ!これがいい!他、いらないっ!私、これだけでいいっ!」
「っ!?」

いつにない剣幕に誠は絶句した。
感情のあまり、白の言葉がいつもより流暢にしゃべったことにも驚きだが、何よりも驚かされたのは誠へのこだわりようだ。
弥生たちもそうだったが、白の執着は群を抜いている。
いや、もしかすると他の連中も隠しているだけで、白と同じくらい誠に執着しているのかもしれない。
異常ともいうべき剣幕に、誠は彼女がこれまでに見かけた淫乱女たちと一線を画していることを理解した。

(・・・待てよ・・・?そう言えば、コイツらも最初はオレを見るなりいきなり襲ってきたよな・・・。
 ここに来るまでに襲ってきた淫乱女たちみたいに。
 でもオレは他の男たちみたいに死んでもなければ肉風船みたいにもなってない・・・。
 やっぱりオレはヤラれた男たちと何かが違うのか?
 それともオレが生きているから、コイツらがおとなしくなっているのか?
 ・・・ああ、もう判断材料が足りねえ!
 せめてオレ以外にも生き残りがいたら何かわかるかもしれないってのに・・・!)

誠がいらだたしげに髪をぐしゃぐしゃと引っ掻いていたその時だった。

「誠様ーっ!」
「ご主人・・・様っ。たい、へん・・・!」

ホテルの探索に行っていた美樹と葵が血相を変えて戻ってきた。
いったい何があったのだろうか?
――――

「何ぃっ!?このホテルにオレ以外の人間の生き残りがいただとぉっ!?」
「そ、そうなの!しかもそいつ、誠様と同じように何人も女の人をはべらしていたのっ!」
「・・・っ!」

その言葉に誠は二の句が継げなくなる。驚きが限界を超えたからではない。
自分以外にも生き残りがいたこと、それも自分とよく似た境遇の男性を見つけたことに歓喜していたからだ。
これで少しはこの世界に希望が持てる。
あの日から起きている自分の身体の変化が何なのか、何らかの情報が得られる。
誠は心の中で渦巻いていた苦悩が解消できると無言で何度も何度もガッツポーズを繰り返した。
だが残念ながら事態はそれほど楽観的なものではなかった。
なぜならこの場には、偵察に出ていたはずの弥生と月が戻っていないのだから。
歓喜に震える誠に、美樹は言いづらそうにしていたが、葵に手を引っ張られておずおずと言葉を続けた。

「それで・・・ね?私たちの報告を受けた先生が、代表してコンタクトを取りに行ったんだけど・・・」
「おお!それで!?」
「そいつ・・・先生のことを見るなり、『新しい女だー』とか言って、取り巻きの女たちに命じて・・・。
 その、先生のことを捕まえ・・・ちゃったの」
「・・・何?」

思わぬ生き残りの行動に、さすがの誠も今までのハイテンションが吹っ飛んだ。
素に戻った誠に、美樹は身を震わせながら話し続けた。

「私たち、それを見てとっさに先生を助けに行こうとしたんだけど・・・。
 アイツらすごい大人数で・・・先生に『逃げなさい』って言われて・・・逃げ出してきたの。
 でも先に出ていた月(ゆえ)ちゃんもアイツらにつかまっちゃって・・・」
「まさか・・・アイツら、置いて戻ってきたのか!?」
「ごめんなさいっ!だって、アイツら、すごい人数だったの!
 早く逃げないと、何されるかわかんなくて、すごく怖くって・・・!」
「・・・ッ!」

何やってんだ、このバカっ!!
・・・と叫びそうになるのをすんでのところで飲み込んだ誠は、頭をたたいて強引に怒りと焦燥を抑え込む。
失策だ。誠はあまりにも異常化したこの世界に、神経がおかしくなって気づけなかった。
道路で襲ってきたゾンビもどきたちと違って、コイツらもとんでもない身体能力があるとかそんなわけではないのだ。
そもそも彼女らは誠に危険が及んだ時のための捨て駒。
その出生や身体能力などはほとんど無視していた。
だいたい、生き残りがいたからと言って、そいつが誠のようにまともな神経をしているとは限らない。
それなのに弥生たちに何も言わず、あっさり偵察に行かせるなど・・・自業自得としか言いようのない大失敗だった。
だがやってしまったことを後悔しても仕方がない。
これからどうするのか、考えることが重要だ。
今誠にとれる選択肢は4つ。

@弥生たちを見捨て、このホテルから脱出する。
A弥生たちを犠牲にして、生き残りの人間を確保する。
B生き残りの人間を犠牲にして、弥生たちを救出する。
C弥生たちを救出し、かつ生き残りの人間も確保する。

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