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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 32

「・・・まずは2〜3人で中に入って安全を確かめます。
 運転できる先生は車の中で待っててください」
「わ、わかったわ」
「ま、待って。もしかして・・・河原くんが行くの?」

震えながら答える弥生。すると後ろの座席から美樹が不安そうな様子で質問してきた。

「ああ。この中で男はオレ1人しかいないからね。
 1人だけじゃ心もとないから、あと2人くらいついてきてもらうけど・・・」
「行くっ!私、行くわっ!!」
「そ、そんなっ!河原くんが行くなら私も行きたいっ!!」
「わ・・・たし、も・・・!」

その言葉に美樹は目の色を変えて立候補してきた。彼女だけではない。
先ほど車で待つように指示された弥生や、言葉に不自由な宮崎(仮)たちまでもが誠の腕を取って名乗りを上げた。
思わぬ女性陣の反応に誠は驚いた。
いくら唯一の男と一緒に行けると言っても、やることは狂った女がいるかどうか確認する危険な仕事だ。
おかしくなった女に襲われることより誠と一緒にいることを選ぶなんて、誠からすれば理解できない話であった。
まぁ行きたくないとごねられるよりはいいが・・・。
しかし問題がまったくないわけでもない。
車に何人か残ってもらわなければ、いざと言うとき逃げることができないからだ。
弥生は当然として、他にも残ってもらわなければならないが・・・誰を残すべきか?
またどうやって彼女らを説得すればいいのか?
誠は思わぬ展開に少し頭を悩ませていた。

「じゃあ宮崎(仮)と黒髪、一緒に来てくれ」

その瞬間、車内は輝かんばかりの笑顔と絶望に沈んだ2種類の人間であふれた。
考えた結果、誠は宮崎(仮)と黒髪を連れて行くことにした。
美樹は弥生と同じでまだ正気を保っている人間だ。
コンビニで何かあったとき、サポートしてくれるだろう。
もし白髪がダダをこねても2人がかりなら押さえ込める。
宮崎(仮)と黒髪を連れて行くことにした理由は2つ。
1つは2人の容姿。白髪は2人と違い、髪の毛が真っ白だ。
もし中に人間がいた場合、その容姿のためによけいな刺激を与えかねない。
まぁ、全員全裸という時点で十分インパクトがあるのだが。
そして2つ目は彼女らの出自。
彼女らは肉の塊(おそらく材料は人間)から出てきた神秘の存在だ。
弥生や美樹たちに比べ、身体能力が高いとかそういったことがあるかもしれない。
あくまで可能性の話だが、今はわらにもすがりたい状況。
それを放っておく手はなかった。
「ね、ねえ河原クン!どうして私じゃダメなの!?私、足手まといにならないようにがんばるよ!?」
「・・・!(コクコク)」

あきらめきれない美樹と白髪が肩や手にしがみついて再考を訴える。
彼女たちから香る甘い香りや押し付けられるやわらかい乳房の感触に、ちょっとだけ迷いが起きるものの。
これは自分の命がかかっていることと、強く自分に言い聞かせてその意見を却下した。

「ダメ。みんなで中に入って何かあったら、どうすることもできないんだよ?
 狭山さんたちは先生と一緒に残って。こっちで何かあったときに動けるように」
「う・・・う〜ん・・・。わ、わかった・・・」

子供に言い聞かせるような説得に2人は眉をひそめていたが。
しぶしぶながらも了承してくれた。
誠を失うくらいなら、という結論に達したらしい。
2人の答えに安堵しながら、誠はある疑問を感じていた。
出会う女性出会う女性、みんながやけに誠を頼りにしているのだ。
必要以上に甘えてくると言ってもいい。
モラルも秩序も崩壊した今、頼れる男は誠しかいないのだから、ある意味当然とも言えるが・・・。
美樹たちの変わりように、誠は違和感を感じずにはいられなかった。
だが今優先すべきはあいまいな疑問の解決ではなく、目の前の問題の解決である。
誠はすぐ思考を切り替え、車から降りるのだった。

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