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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 88

二人は馬車で市外に張った陣地に戻った。

その翌日、さっそくババロアの部下の士官が命令を持って陣中を訪れた。士官は机の上に地図を広げて、アルス、ドン、アクシミリアン、シルビアに説明した。
「よろしいですか?これはアンブレラ市近郊の地図です。これがアンブレラ…」
士官は地図のほぼ中央を指し示した。
「…で、ここから街道沿いに西へ進むと古い砦があります。ずっと昔に打ち捨てられて無人だったのですが、ノーマの残党共が根城にしてしまいました。アクシミリアン公爵にはここを攻めていただきたい」
「よっしゃあ!それじゃあサッサと片付けちまおうぜ!」
「フゥ…まったく、これだから兵法を知らぬ輩は困るでおじゃる」
勢い付くアルスにアクシミリアンは呆れる。
「何でだよ?城なんて攻めて落としゃあ良いんだろ?」
「攻城は攻め手に不利なのです」
シルビアが険しい表情で言った。
「“攻める方は守る方の3倍の兵が要る”とさえ言われるほどです」
「そ…そうなのか?」
「なぁ〜に、心配あらへん。ワイらに任しとけ!こういうんは慣れとるんや!」
だがドンは自信満々に胸を叩いて言った。

その頃、砦の一室では集結した旧ノーマの遺臣達が会議を開いていた。
「それは本当なのか?ドルン」
「はい、ガイアール中将。密偵からの報告によりますと、敵の援軍約300騎が現れ、アンブレラ市外に陣取ったそうです。軍旗はオルストリア州軍の物で、全て騎兵と…」
遺臣達のリーダー格となっていたのは、かつてスカル平野の戦いで参謀として参戦したガイアール中将とドルン准将であった。もっとも階級の方はノーマが滅亡した今となってはほとんど意味をなさないが…。
「なるほど、ビブリオン本国からの増援ではないのか…」
遺臣達は口々に話し合う。
「我々もナメられた物ですな」
「オルストリア州軍は装備は立派だが兵の士気・練度は大した事はない。勝ち目はあるぞ!」
「それに、いざとなったら我々には秘密兵器がある…」
滅びた国の生き残りが全土を統一した帝国に反旗を翻す…普通に考えてみれば到底勝てそうも無い戦いなのに、何故か彼らは自信に満ち溢れていた。

「お、見えた。あれやな…」
「何だ…ジェロルスタン城よりちっこい砦じゃねえか」
「アルスはん、油断は禁物やで。弱い弱いと見せかけて、実はとんでもない力を秘めとるっちゅう事は良くある話や」
アルス、ドン、エイラは南蛮兵達を引き連れてノーマの残党達が拠点にしている砦の前までやって来た。
「…で、どうすんだ?」
アルスはドンに尋ねる。
「まともに城攻めなんかせえへん。ヤツらを城から誘き出して、のこのこ出て来た所を一気に叩くんや!」
「誘き出すって…どうやるんだよ?」

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