PiPi's World 投稿小説

アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 33
 35
の最後へ

アルス正伝 35

「ふむ…死にたいのですか…分かりました。その望み、叶えて差し上げましょう」
「え…?」
ディアナはガイアの言葉が理解出来なかった。
ガイアは金細工の短剣を取り出すとディアナの前に放り投げて言った。
「どうぞ、それで自害なさい。私は止めません」
「え…え…?」
「さあ、早く。手首でも喉でも好きな所を切って死になさい」
「で…でも…」
「私は貴女が苦しみ悶える様が見れればそれで良いのです」
「…クッ!外道!」
ディアナは自らの喉元に短剣を突き付けて言った。
「あなたのような人間に捕らえられるぐらいなら…私は喜んで死を選びます!!」
「じゃあ早く死んでください」
「い…いまやります!少し黙って!」
「はい…」
ディアナの手はカタカタと小刻みに震え、顔には油汗が浮かんでいる。だが短剣の先端が彼女の首筋に触れた途端、彼女は短剣を投げ捨てて泣き出した。
「う…ううぅ…うああぁぁ〜〜ん!!ああぁぁ〜〜ん!!」
ディアナは緊張の糸が切れたのか、子供のような大声で泣きじゃくった。
「ふん…口だけでしたか、まあ良い。いずれ今ここで死ななかった事を後悔する事になるでしょう」
ガイアはつまらなそうな顔をしたが、彼以外の全員は顔に安堵の色を浮かべていた。ただレオナと呼ばれた少女だけは始終無表情のままであったが…。

しばらくしてノーマ側の軍使が停戦の交渉に訪れた。
「ビブリオン国王ガイア陛下、この戦いはあなた様の勝利でございます。お許しいただけるなら、我が方の戦死者の遺体を回収させていただきたいのですが…」
「嫌だ」
そう言うとガイアは軍使を斬らせた。ノーマ軍はアンブレラ市まで退却。スカル平野の戦いはここに終結した。

「「ご主人様ぁ〜っ!!」」
「アイシャ!エルザ!良かったぁ〜、生きてたか」
「サフィアさんが教えてくれたんです。ご主人様が殿下を拉致してビブリオンの陣地に向かって行ったと…」
「ご主人様の奴隷である私達二人がノーマの陣中にいる事がバレたら殺されちゃうから逃げなさいって教えてくれたんです」
「そうだったのか〜、今度サフィアに会ったら礼をしねえとなぁ…」
「でもご主人様!いくら劣勢になったからって私達を残して行っちゃうなんて酷いです〜!」
「悪りぃ悪りぃ!まぁ、俺はノーマ皇国に殉じる義理なんて無ぇからな。最初から不利になりゃあ寝返る腹積もりだったぜ」
「最初から…?」
アイシャはずっと前の会話を思い出した。

……
………
『ご主人様はノーマ軍として参戦なさるんですか?』
『まあな、だが場合によっては…』
『え?』
『まあ良い、行くぞ!』
『あ…待ってください〜!』
………
……

「あ…あの時からですか…」
アイシャは半ば呆れながら言う。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す