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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 124

「お…おい、アンブレラ市はそっちの方角じゃないよ!!」
カルラはライラの行き先を見て慌てて叫んだ。
「あっ!済まん済ま〜ん!」
それを聞いて行く先を変えるライラ。
「…大丈夫か、アイツ…?」
カルラは別な意味で不安になって来た。


「…お前の話は大体分かった。つまりお前の理想の世界を作るために俺が必要って事だろ?」
アルスは机の上に広げられたアルシア大陸の地図を眺めながら言った。ここはフランツの天幕。机やイスなどの調度品は彼の鎧と同じく装飾の無い簡素な物だった。
「…そうだ。力を貸してくれるか、アルス?」
アルスはこのフランツという男に、他の貴族達…支配者階級の者達とは違う何かを感じていた。だから訊いた。
「お前の目指すその世界っていうのは、どんな世界なんだ?」
「分からん」
「…は?」
力強く説得してきた割には思いがけない答え。アルスは思わず拍子抜けする。フランツは補足した。
「…いや、自分でもまだハッキリと体制や方針を決めている訳ではないのだ。ただ、人々が戦災や圧政の恐怖に脅える事無く平穏に暮らせる世界にしたい…それだけだ」
「……」
「どうした、失望したか?一地方領主のつまらん夢だと…」
「…いや、気に入ったぜフランツ。お前のその夢、俺も乗らせろ!」
そう言うとアルスはフランツを見てニヤリと笑った。
「…そうか!良かった!やっぱりお前は分かってくれると思っていたよアルス。今から我々は仲間だ!いや、理想の世界を実現させるために共に戦う同志と言った方が良いかも知れん!」
「…ただし、一つだけ言っておく」
喜ぶフランツの顔の前にアルスは指を突き出して言った。
「もし、お前の作る世界が俺の理想と違うと判断したら、その時は俺はお前と手を切る。場合によってはお前を殺すかも知れん。それだけは覚えておけ」
「あぁ、もちろんだ」
フランツは力強く頷いて言った。
「私が誤った道に進もうとした時はアルス、遠慮する事は無い。私を斬れ」
「じゃあ…」
「…うむ!」
そして二人は固く手を握り合った。もう言葉は要らなかった。

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