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セラフィック・ドール
官能リレー小説 - ファンタジー系

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セラフィック・ドール 2

青年はフライパンとおたまを台所に置くと、少し深刻そうな表情をしたが、すぐに笑顔にもどった。

「いや、ただの休暇だよ。久しぶりに帰ってきたから、幼なじみの顔でも見ようかな〜って思ったんだけどね、怒鳴られた。」

「うっさい。今のはランナーが悪いでしょ。いきなり村に帰ってくるなり私を叩きおこして。一体何様のつもりよ?」

ランナーは「今更なにを……」と呆れたが、殴られたくないので割愛した。



すると、熊のような大男が割って入ってきた。
村長であるラースおじさんだ。
レアナとランナーは二人ともおじさんの養子であったが、気の良い性格なためこの村に捨てられた二人を養子として迎えたらしい。

「レアナちゃん。ちっと悪いが、ランナー借りてくぞ。久しぶりに戻ってきたんだ、ちったぁここに貢献しなきゃぁなあ。」

「あぁ。良いわよ。というか、なんで私に聞くのよ?おじさん。」

レアナは意味が全く解らないと言った風に口をへの字に曲げた。

レアナは逃げるように出て行く二人を見送った。
大方、ランナーに魔物退治でもさせる気なのだろう。
レアナはあまり働かない寝起きの頭で考えた。
そんな答えになったのにはちゃんと理由がある。
ランナーは剣の腕前について領主から麒麟児という大層な評価をされていたし、最近は魔物の活動が活発になっているらしいのだ。
つまり、ラースはランナーがいるうちに、村の周囲にいる魔物たちを一掃したいのだろう。
「あとで手伝いに行こうかしら」
これでも精霊魔法を使える。
足手まといにはならないはずだ。

自室で短い茶髪を整え、井戸から水を汲み上げて顔を洗う。
その後、朝食であるジャガイモとパンをぺろりと平らげる。
一日の元気を補充し、指揮棒のような杖を持って自警団に詰め所へ足を向かわせた。
詰め所内は意外なほど静かで、誰もいないのではないかと錯覚しそうになる。
が、実際には一人いた。
「あ、あの……何か用ですか?」
現れたのは小動物という言葉がぴったりな、およそ自警団という場所に不似合いな幼い少年だった。
名はラドンという。

「やあ、ラドン君。ランナーがどこにいるか分かるかな?」
「それなら、北の森にいるはずです」

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