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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 47


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(間に合えっ!間に合え、間に合え、間に合えぇッ!!)

2号機人馬型操機兵(グラディエイター)を駆るディオの頭には、視界に捕らえた少女たちを助けることで頭がいっぱいだった。
あまりに必死になっていたので、アニータが白目をむいて何度も悲鳴を上げていたことにも、自分が何度も彼女の中に射精してしまっていたことにも気づかなかった。
彼にとってこのヒメイルの町はなんとしても守りたい、大切なふるさとだったからだ。
壊滅状態のこの町ヒメイルは、町などと謳っているが実際には町と呼ぶには人口も豊かさもないところであった。
その理由は立地条件。
王都から遠く離れたこの辺境の町には、特産品となるモノも、産業の元となる資源もない。
それが町として存在しているのは、ひとえに住民のたゆまぬ努力と結束力の賜物である。
だからディオに機士(ハイランダー)、アニータに妊兵(ダイナモ)としての素質を見出されたときは出産と葬式を同時に迎えたような、そんな複雑な雰囲気になったものだ。
機士(ハイランダー)と妊兵(ダイナモ)が見出されることになれば、国はまた新たな候補者が出るかもしれないとさまざまな支援をしてくれる。
それはヒメイルにとって何よりもありがたいことだ。
だが妊兵(ダイナモ)は人間以下の扱いを受けることも周知の事実。
まして2人はこれから国のため、命がけで戦わなければならないのだ。
そんな過酷な世界に2人を送り出すことに、ヒメイルの住人たちは大いに迷った。
この土地でしか見られない、家族以上の強い絆ゆえに。
だからこそディオは誓った。
この町のために。大切な仲間たちのために、自分は力を尽くそうと。
なればこそ、1人でも多くの仲間を救わなくては。
ディオはこの時、その強い信念ゆえに限界以上の力を吐き出していたのだった。
そんなときだ。少女たちの映るディスプレイの端に、1つの影がちらつき始めた。
その影こそが、ゲルゾルだった。
「まずいっ!」
少女たちが襲われると言う事よりもっと需要な事に気づきシェルは叫ぶ。

対ゲルゾル用に装備した火炎放射器。
ゲルゾルに唯一有効な武器であり、都市にも配備されている。
だが、都市配備型は割と威力の弱い物も多く、ヒメイルの街の物も主力不足だった。
それでも、今までは防げていた・・・
しかし、かつてないゲルゾルの大量増殖に追いつかなかったのだ。

それに対し、グラディエイターの持つ火炎放射器は強力だ。
グラディエイターの出力を借りて放射するからゲルゾルがどれほど増殖しようとほぼ一瞬で消し去るが、その威力故に周囲もただで済まない。

この位置で放射すれば少女達も消し炭になるだろう。

ならば、やれる事は1つ・・・

シェルはグラディエイターを駆ると、ゲルゾル目掛けて突っ込む。

思わぬ餌に機体を包み込んだゲルゾルだったが、それこそがシェルの思う壺であった。

「出力全開放!!」

アニータを思い切り突きながらシェルが叫ぶ。

包み込み消化液をまぶすゲルゾルの動きが止まり、ゲルゾルの表面が泡立ち湯気が立ち込める。

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