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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 8

都を見渡せる丘にて王国の最後を見届けた数人の騎士はその場から離れた。

「ライルは西へ、ケイルは南の国々にこの事を伝えろ……勇者殿に一刻も早く耳に入れなければ」

騎士を指揮する男は激を飛ばした。

「都は落ちたがまだ隠れ砦がある……魔王め」

「しかし戦力が何所まで整うか」

側近の一人が心配な顔になるが彼は自信ありげに言う。

「この剣があるからな」

それは密かに持ち出していた聖剣であり、かつての魔王を撃ち滅ぼしたとも言われている品物であった。


一方、王城を完全に制圧した魔物達は城下町に攻め込んだ。
「男は皆殺し!!女子供は生け捕りにして奴隷だぁ!!」
「「「ウオォー―――ッ!!!!」」」
こうして王国は滅亡した…。


魔王復活・王国滅亡の報は瞬く間に大陸全土に広まり、各国に衝撃を与えた。特に滅ぼされた王国と国境を接する国々は臨戦態勢を取り、いつでも開戦出来るよう準備を整えた。

しかし、予想に反してザインは近隣諸国への侵略の命令を出さなかった。
「今回の戦いで、我が軍も少しだが数が減っちまった。それにこれからはもっとデカい国とも戦わなきゃならねえ。そのためにも今後しばらくは仲間を増やす事に専念する!」
占領した王宮のテラスから城下町を見下ろしながらザインは言った。
「賢明なご判断ですわ、ザイン様」
それに応えるアレン。彼女は出産間近のボテ腹を抱えていた。
「それだけじゃねえ。お前の出産と子育てだ。実はな、俺はお前とのガキを時期魔王にするつもりだ。俺とお前のガキなら最強の魔物に違いねえだろうからな」
「ザイン様…そんな、もったいない…」
それを聞いたアレンの両目からはポロポロと涙がこぼれ落ちた。

その頃、ある国の都では四人の人物による会談が行われていた。
この四人は人間の国々の中でも特に強大な四つの国の長だった。

大グランディア帝国・シュルツ皇帝
アルティス商業連合・ロベルト代表
神聖ロザリア教国・グレゴリウス教皇
ヤマト国・アマテラス女皇

「諸君、本日このようにお集まりいただけた事は実に喜ばしく…」
「前置きはいい。さっそく本題に入ろうじゃないか。魔王をどうするかだ」
「全ては神の思し召しのままに…」
「何じゃ…まとまりの無い者共じゃのう」

この四大勢力、普段は大陸の覇権や利権を巡って互いに争っているのだが、人間の敵・魔族と戦う時だけは一時休戦して手を結んでいた。前回も、そして今回もだ。
「我々人類は総力を挙げて魔族と戦わねばならん。それには勇者の力が必要不可欠だ。そこで一つ問題が出て来る」
「うむ、確かに彼無くして人類の勝利は有り得んからな。で、問題が出て来る訳だ」
「問題とは何じゃ?ただ勇者に魔王征伐を命じれば良いだけの話であろう?」
「貴女は分かっておらんな。どこの国がその命令を出すかが問題なのだ」
要はこの戦争のリーダーシップをどの国が取るか…という事である。人類の総力を挙げての戦争なのだから、それをまとめる国は当然、人類の頂点に立つ国でなければならない。
「ホホホ…そのような事、最も長き歴史を持ち、文武の誉れ高き我がヤマト国に決まっておろう」
「何を言う!?最大の軍事力を誇る我が大グランディア帝国こそ人類の盟主に相応しい!」
「いやいや、大陸中の通商を掌握し、世界の富の約5割を保有する我がアルティス商業連合こそ人類のリーダーだろう」
躍起になる各国指導者達。だが、ロザリア教国のグレゴリウス教皇だけは落ち着いた顔で微笑んでいる。
「おや、あんたは自国を推薦しないのかね?」
「その点でしたらご心配無く…既に我が神聖ロザリア教国から勇者殿宛てに魔王討伐の勅命を出しておきましたので…」
「「「はぁ!?」」」
目を丸くする残り三人。
「聞いてないぞ!?」
「まさか抜け駆けとは…!!」
「この法衣狐めが!!」
早くも結束にヒビが入りかけた人類連合軍だったが、四国共同で改めて勇者に魔王討伐の命令を出すという事で一致したのであった。

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