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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 48

父親にここまで言われるアルベルトもどうなのだろうか…。
「い…いえ、陛下。私がアルベルト様を推すのはアルベルト様のお人柄ゆえではなく、アルベルト様が長子ゆえにございます」
「長子相続か…“才覚ある者が家督を継ぐべきである”という我がグランディアの気風から言えば、いささか軟弱な思想に思えるが…」
「そのためにグランディア帝国では皇帝の代替わりごとに血生臭い争いが繰り広げられて来たではありませんか」
「う…うむ…」
確かにその通りなのだった。現皇帝シュルツが皇位に就く際にもゴタゴタがあり、シュルツは何人かの兄弟達を失っている。
「庶民の家ならばそれでも良いかも知れません。しかし国の長たる皇帝家で毎度そのような事が行われていては、他国に付け入る隙を与え、ひいては国家の安定を脅かします。それは皇帝家にとっても帝国全体にとっても望ましくないでしょう」
「うむ、ソナタの言う通りだ…」
「ですから“才覚ある者”などという曖昧なものではなく、はっきりと“長子”が皇位を継承するという事を明確化させるのです。これを陛下の次の代から始めるのです。もう皇位継承の度に争いが起こらぬように…。陛下とてご自分のご子息方やお孫様方が血みどろの殺し合いをするなどお嫌でございましょう?そのような事は陛下の代で終わりにするのです。これからグランディアは変わるのです」
「おぉ!なんと素晴らしい…。バルトロメウス、ソナタは自分の死後、グランディア帝国の遥か後の世の事まで考えておったのか!」
「はい、永代に渡って続く平穏を確立させる事…それが私めが帝国に対して出来る最後にして最高のご恩返しと思い…」
「バルトロメウス!!ソナタは真の忠臣ぞ!」
シュルツは目に感涙を浮かべ、バルトロメウスの両肩を抱いた。

「…さて、そうと決まれば話は早い方が良いな…」
翌日、シュルツはさっそく宮廷の使用人頭で皇帝家に関する諸事も取り仕切っている老執事を呼び付けた。
「お呼びでございますか、陛下」
「ああ、実はな、我が長男アルベルトを次期皇位継承者である皇太子とする事に決めた」
「ははあ、それは結構な事でございます。諸侯や臣民達にはいつ公表なさいますか?」
「うむ、その事なのだがな、皇太子としての箔を付けるためにアルベルトを結婚させようと思うのだ。その婚礼の式典で正式にアルベルトを皇太子とする事を世間に向けて発表しようと思う」
「お相手は?」
「それだ。誰ぞ適当な姫はおらんか?臣下の娘でも他国の王女でも構わん」
「ふむ…ド・ブース侯爵のご令嬢のラフレシア様などいかがでございましょう。年齢的にも釣り合いますし…」
「あれは醜女ではないか!いかんいかん!」
「ならば…確か属国のトシーマー王国になかなかの美姫がおられたはずです。未亡人で出戻りですが…」
「未亡人とな…歳は?」
「アルベルト様よりも10歳ほど年上でございますが…」
「いかん!!そんなに年齢が上ではアルベルトが尻に敷かれる!女が強い王家は滅ぶ!歴史の法則じゃ!…他にもっと相応しいのはおらんのか?」
「急なお話ゆえ、少しお時間をくださいませ。国の内外を調べてみますゆえ…」
「うむ、分かった。急いては事をし損じる…よろしく頼む」
「ははあ」
しかし、この事が後のゴタゴタに繋がっていくなどとは、この時まだ誰も想像だにしていなかったのであった…。



「シノビ封じの魔法か…」
神聖ロザリア教国の教皇グレゴリウスも件の手紙を受け取り、これに目を通していた。
「猊下!これは長年に渡るヤマトの我が国への監視と干渉を断つ好機にございます!」
側近である高級神官の一人が言った。それに対して別の高級神官が口を挟む。
「何を仰いますか!天なる神々と我ら神々の子たる人間の敵である魔族の手を借りるなど…我がロザリア教の教義に反する大罪ではありませんか!」
「お黙りなさい!何を今さら教義などと偉そうな事を…貴殿がご自分の管轄下の神殿に捧げられたお布施をピンハネしている事は知っていますぞ!」
「な…なにを根拠にそのような戯れ言を…!猊下!この者こそ神々に捧げられるべき処女の生け贄を寝取った大罪人でございます!」
「いひいぃぃ!!う…嘘を仰い!」
側近の高級神官達は醜い言い争いを始めた。教皇グレゴリウスはしばらく黙って成り行きを見ていたが、やがて口を開いた。

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