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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 46


ツクヨミは早速アマテラスの元へと向かった。広間へ行くと既に宴はおひらきとなっていた。…となると寝所だ。母の部屋の前に行くと警護の衛兵が二人立っていた。在室の証だ。ツクヨミは扉越しに中に話しかけた。
「陛下、失礼いたします」
「む…誰じゃ?ツクヨミか?」
「はい、実は少しお話がございまして…よろしいでしょうか?」
「構わぬ、入れ」
「はい。…お前達、誰も近付けるなよ」
「「は!」」
そう衛兵達に言うとツクヨミは扉を開けて中に入った。
「あ…し…失礼いたしました!」
アマテラスは裸で寝台に横たわり、その体に二人の女官が香油を塗っていた。彼女の裸体は娘(息子?)であるツクヨミの目から見ても大変魅力的なものだった。もし今は無きムスコがあったら確実に勃起してしまっていただろう。
「構わぬと申したであろうが…。何の用じゃ?妾は疲れておるのじゃ。もう寝たいよってに早よう話せ」
「は…はあ…その…重要な話なのでお人払いを…と思ったのですが、これでは…また明日、改めて参ります。おやすみなさいませ…」
「待たぬか。気になるではないか。今話していけ。お前達、少し外しておれ」
「はい。隣の間に控えておりますので、何かございましたらお呼びくださいませ…」
女官達は体を起こしたアマテラスに小袖型の肌着をかけると出て行った。二人きりになりアマテラスはツクヨミに尋ねた。
「…して、話とは?」
「はい。実は母上、アルス殿の事でして…」
「うむ…」
「アルス殿が宮中に招かれてから早一週間…お名残惜しいですがそろそろご出立の頃合いではないかと存じます。アルス殿には魔王ザインを打ち倒し、世界を救うという使命があるのです。あまり長くお引き留めしては…」
「ツクヨミ!」
「は…はい」
「そなたは阿呆か?」
「……」
「何ゆえ妾が宮中総出であの勇者めを連日接待しておると思うておる?そなた、まさかそんな事も解らぬのか?」
「…いいえ、母上。解ります。母上のお考えはこのツクヨミ、良〜く承知しております。さすがは母上、“ヤマトは勇者と共に有り”という事になれば我が国の圧倒的優位性を諸国に知らしめるまたと無い好機となりましょう…。ですが母上、国際的道義という観点からお考えくださいませ。今、大陸の民達は魔王ザインの脅威に日々怯えながら暮らしているのです。ザインに滅ぼされた国では男は皆殺しにされ、女は魔物に犯され孕まされ、魔物の仔を産む肉袋にされているのですよ?」
「それが何じゃ。確かに今苦しんでおる大陸の者達には同情はするが、所詮は他国の民ではないか。一国の長たる者がいちいちそんな人情に流されてたまるか。そんな事をしておってはいずれ国は滅亡じゃ。国際的道義?そんなものは幻想に過ぎぬ。“国家間に真の友情は存在せん”という諺(ことわざ)もあろうが。国同士の駆け引きは喰うか喰われるか、弱肉強食の世界じゃ。他国の不幸は自国の幸。ましてや自国が大きく飛躍する千載一遇の好機を潰してまで他国を救うなど、為政者としてこれほど愚かな事は無い」
「そんな…母上、あまりのお言葉です。そんな事を仰られては身もフタも無いではありませんか…」
「無くて結構じゃ。それとなツクヨミ、そなた“ヤマトは勇者と共に有り”と申したが、それは少し違うておるぞ。“勇者がヤマトと共に有る”のじゃ」
「…同じではありませんか」
「主述が逆転しておる。大違いじゃ」
「母上…母上は変わられました。昔の母上は民の幸福を己の喜びに、民の不幸は己の悲しみに思われる心の優しい…」
「妾は昔と何ら変わったつもりは無いがのう。妾はいつでも“ヤマトの”民の幸福と繁栄を願うておるぞ。ただし、皇権を脅かさぬ範疇での繁栄じゃがな」
「……」
ツクヨミは言葉が見つからない。もはやこの母に人情論は通用しないという事を悟ったからだ。なるほどアマテラスは名君とまではいかないが“明君”であった。為政者として正しい判断だ。それはツクヨミにも解る。



「ふ〜む…」
アルティス商業連合ロベルト・バーナード主席は執務室で一通の手紙を前に思案していた。
「主席、その手紙には何と…?」
彼の机の傍らに立った一人の美女が尋ねた。彼女は主席秘書官…つまりロベルトの秘書だ。長い髪をアップにしてまとめ、眼鏡をかけた知的な女性である。
他国であれば「女が政務に携わるなど言語道断!」と咎められる所であろうが、アルティス連合では女性の地位が他国よりも高く、女性官吏も多い。この主席官邸はもちろん、評議会議会議事堂や各省庁の政庁舎でも多くの女性職員が男性と同等に働いている。
その最高峰とも言える主席秘書官である彼女が、たかが一通の手紙の内容を心配そうに尋ねるのには訳があった。

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