PiPi's World 投稿小説

世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 43
 45
の最後へ

世界征服 45



さて、その当のヤマト国では…。
「女皇陛下、私はそろそろ…」
「ま…待たれよアルス殿!まだ行ってはならぬ!行ってはならぬのじゃ!あと一日!一日で良いから居てはもらえぬか!?」
「し…しかし、そう仰られ続けてもう一週間です!私には世界を救うという使命が…!」
「それはしからばもっともじゃ。されど妾(わらわ)はまだまだアルス殿に感謝の礼を伝え尽くしておらぬ」
「尽くしてくださらなくても結構です!僕には一日の猶予も無いんです!」
「何と…!アルス殿は妾の礼に対して非礼を以て応える気か!?」
「い…いえ、そういう訳ではありませんが…」
「ならば妾の頼みを聞いてはもらえぬか?いや、何も二日三日と言うておるのではない。一日じゃ。たったの一日で良いのじゃ」
「…そう言って一週間…」
「礼には礼を以て応える。それが世話になったこの国の者達に対する“礼”というものであろう?ん?そうは思われぬか?」
「分かった…分かりました!本当にあと一日だけですからね!?」
「おぉ!それでこそアルス殿じゃ!」
…このように勇者アルスは女皇アマテラスに執拗に引き留められ、出発を引き延ばされていたのである。宮中では連日連夜アルスのために大宴会が催され、気の良いアルスは断り切れず、いつも女皇に押し切られていた。
「アルス殿、女官達による宮廷舞踊も軽業師による曲芸も、いささか飽きてきた頃であろう。ゆえに今宵は趣向を変えてみたぞ。出でよ!」
アマテラスが合図すると、広間に薄物を纏った美しい踊り娘達が現れた。その姿はヘタな全裸よりエロい。
「いかがかのう?」
「こ…これはなかなか…」
アルスも思わず生唾を飲み込む。勇者だって男だ。
「ふふふ…気に入った娘がおれば夜伽の相手をさせても良いぞ?」
「そ…そんな必要は…ありません…たぶん……いや…どうかな…」
もちろんアマテラスがこれ程までにアルスを歓待し続けるのは、純粋な感謝の気持ちからであるはずが無かった。ヤマト国が“勇者を擁する国”という事になれば、魔族の脅威に怯える現在の世界の情勢下において、神聖ロザリア教国、アルティス商業連合、大グランディア帝国よりも遥かに優位に立てるというのが真の理由だった。聖剣はどうやら騎士達の手によりアルティスに向かっているらしいが、先日それも“奪取せよ”との命令を下した。勇者と聖剣が手に入れば、ヤマトは反魔族連合の盟主として全人類の頂点に君臨する事となろう。“忍び”は大陸中に潜伏している。彼らは必ずやり遂げてくれるはずだ。ヘタな話、一国の王の暗殺すら可能なのだ。アマテラスはヤマトにいながら大陸を掌中に収めた気分で美酒に酔いしれた。

「あんの女皇!!一体いつまで私達をここに縛り付けておく気なのよ〜!!?」
セレナは怒りに任せて叫んだ。ここはツクヨミの部屋だ。
「すまん…」
ツクヨミはしおらしく謝罪の言葉を口にした。
「あ…ご…ごめんなさい…あなたのお母様だったわね…」
「いや、そなたの怒りはもっともだ…。おそらく母上はアルス殿を政(まつりごと)の道具にしようと考えておられるのだろう…。全人類の運命よりも自国の立場の方が大切とは…我が母ながら……いや、一国の皇としては正しいのかも知れぬが…」
ツクヨミも心情的に微妙な立ち位置なのであった。
そんなツクヨミにセレナは頭を下げて頼み込んだ。
「ツクヨミさん、お願いします!ツクヨミさんからアマテラス女皇様にアルスを諦めて旅立たせるよう説得してもらえませんか?」
「なに!?私にか?」
「はい!息子であるツクヨミさんの言葉なら、いくら女皇様だって蔑ろにする事は…」
「…あり得るな。母上はそんな甘いお方ではない。仮にも一国の長だぞ?…だが一応やってみよう。言っておくが期待はするでないぞ?」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す