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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 43

「ウルリッヒ!」
「は…はい…」
悔しがっていたと思ったら急に真顔になって、真剣に瞳を見て尋ねて来るイシュトヴァーンにウルリッヒは何か不吉なものを感じた。
「お前は俺とアルベルト、どちらが皇帝に相応しいと思うか!?」
「はあ…お二人ともそれぞれに長所をお持ちで…」
「そんな曖昧な事を聞きたい訳ではない!!俺とアルベルトのどっちが皇帝になった方が良いかと聞いてるんだ!!」
イシュトヴァーンは腰の剣の柄に手をかけてウルリッヒに迫った。
「あ…兄上です!!イシュトヴァーン兄上!あなたの方が皇帝に向いてると思います!!アルベルト兄上は皇帝っていう器じゃありません!いつも周囲の顔色ばかり伺っていて考え方がセコい!そこいくとイシュトヴァーン兄上は文武両道に長け、決断力もカリスマ性もある!絶対イシュトヴァーン兄上が皇帝になった方が良いですよ!!」
一気にまくし立てるウルリッヒ。イシュトヴァーンが過去、怒りに任せて侍女や町民を斬り殺してしまった事が何度かあったのを今になって急に思い出した。
「そうか…やはりお前もそう思うか…」
「…はあ…はい…」
イシュトヴァーンは落ち着きを取り戻した。ウルリッヒは生きている事の素晴らしさを再認識した。
「…では俺はアルベルトを何とかして暗殺しようと思う。知恵を貸してくれるな、ウルリッヒ」
「…はあ…分かりまし…………へ?」
「……」
まさか…と思っていた事が現実に目の前に突き付けられると、人間の思考というものは一瞬停止してしまうものなのだな…とウルリッヒは思った。
「…あ…兄上、そ…それは…その…冗談…ではなくて…?」
「本気だ。アルベルトを亡き者にし、俺が帝位を継ぐ。もちろん協力してくれれば俺が皇帝となった暁にはお前の地位と身の安全は保証する」
協力しないって言ったら?…とは言えなかった。言える雰囲気じゃなかった。
「わ…分かりました兄上。このウルリッヒ、兄上が帝位に就くために全力を以てご協力いたします」
グランディア帝国内部に穏やかならぬ空気が広がり始めていた…。


「…私は造られてから今日まで数百年、我が使い手となった歴代の魔王に仕え、時には夜の相手も務めて来たが…女としてこれほどの悦びを感じたのはザイン、そなたが初めてだ…」
魔剣アルガドラはすっかりザインの虜となってしまっていた。
「ほう、そいつは嬉しいねぇ。俺はセックステクニックだけは代々のご先祖様より上って事か…」
「その通りだザイン。これからも時々私を抱いてはくれぬか…?」
「良いぜ。人の姿のお前は良い女だからな、俺の妻の一人に加えてやるぜ」
「本当か!?私の本性は魔剣なのだぞ。その私の事を妻として扱ってくれるというのか!?」
アルガドラは目を輝かせてザインに訊いた。
「もちろんさ!魔剣だろうがモンスターだろうが俺は気に入った女は妻にするって決めてんだ」
「あぁ…ザインよ、そなたは間違い無く歴代最良の魔王ぞ…」
そう言って自分に身を擦り寄せて来るアルガドラの頭をザインは撫でてやった。
その光景をダークエルフ達は唖然として眺めていた。
「し…信じられん…伝説の魔剣を手懐けてしまうなんて…」
「ああ…魔王ザイン様、あのお方はただ者ではない…!!」

ザインはアルガドラとダークエルフ達を伴って城から出て来た。外では既に意識が回復したフェルク達がザインを待っていた。
「ザっちゃん!魔剣は見つかったの!?……って、その裸の女の子は誰なの!?」
フェルクはザインの左腕にぴったり抱き付いているアルガドラを見て問い詰めた。
「ああ、こいつが魔剣なんだよ」
「嘘だっ!!どうせ嘘吐くならもっとマシな嘘吐きなさいよぉ〜!ザっちゃんの浮気者ぉ〜!」
泣き出してしまうフェルク。
「はぁ…しゃあねえな…。アルガドラ、剣に戻って見せてやれ」
「うむ、分かった」
そう言うとアルガドラは魔剣の姿に戻った。

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