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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 39



その頃、ヤマト国ではアルスとセレナが皇宮にてアマテラス女皇に謁見していた。
「アマテラス女皇陛下におかれましてはご機嫌麗しく、ご尊顔を拝し奉り恐悦至極と存じます…」
「うむ、良くぞ参られた勇者アルス殿。我が国に潜む魔王ザインの息のかかった魔物共の征伐に力を貸してくれたそうじゃな。ヤマトの皇として大変に嬉しく思う。礼を言うぞ」
「もったい無きお言葉、恐れ入ります」
アマテラス女皇は女の身でありながら世界四大国の一つであるヤマト国の支配者である事に加え、その美貌でも諸国に名を響かせていた。いくら年月を経てもその容色に全く衰えが見られない事も相まって、諸外国はおろかヤマトの民達からさえ「もしや女皇はエルフか何かの類なのでは…」と噂されていた。
しかし、ヤマト皇家にエルフの血が入っている事実など無く、これは単にアマテラス本人の美貌という物に対する不断の努力の成果であるに過ぎなかった。
「さて、堅苦しい挨拶はこれまでにして…。アルス殿のためにささやかながら宴の席を用意させてもらった。今宵は存分に楽しんで行かれよ」
アマテラスがサッと合図すると、手に手に酒や料理を持った女官達が謁見の間に入って来た。たちまち謁見の間は宴会場と化した。文武百官がアルスを取り囲み酒を勧める。
「いや〜、音に聞こえし勇者アルス殿にこうしてお目にかかれるとは…」
「はあ…ど…どうも…」
「さあさあアルス殿、それがしの杯を飲んでくだされ」
「では…」
「おお!良い飲みっぷりじゃあ」
「さすがは勇者殿!」
「アルス殿、私の杯も飲んではいただけませぬか」
「あ!ずるいですぞ。私も…!」
「それがしだってアルス殿に杯を飲んでいただきたいのに…!」

セレナは一人、宴席を離れて中庭をとぼとぼ散歩していた。
「何よ、みんなアルスアルスって…フン!ど〜せ私はオマケだよぉ〜!」
彼女は酔っていた。
「こんな所におったのか…」
「ツクヨミさん!?」
ツクヨミは下級の武官の装束に身を包んで男装していた。いや、元が男なので男装というのはおかしいだろうか…。
「しっ!宮中でその名を呼ぶな。私は世間的には死んだ事にされておるのだからな」
「ご…ごめんなさい…!」
慌てるセレナ。フッと笑ってツクヨミは言った。
「そなたも宴席を抜け出して来たのだろう?分かるぞ。私も騒がしい席は苦手だからのう」
「あはは…まあ、そんなとこです…」
まさか構ってもらえないからイジケて出て来たとも言えず、セレナは笑ってごまかした。
「どうじゃ?私の部屋で一緒に飲まんか」
「え…!?」
「ハッハッハ…心配せずとも何もせん。というか、何かしたくともこの体ではナニも出来ん」
何かする気だけはあるのだろうか…。セレナは一抹の不安を覚えるが、確かにツクヨミの言う通りだと思い直し、彼女に付いて行く事にした。

ツクヨミの部屋は簡素で調度品も安物であり、とても皇女の部屋とは思えなかった。
「驚いたか?」
「は…はい…すいません…」
「ハハハ…良い良い。私の正体を知っておる者は母上を始め僅かな側近達とシノビの連中のみ…。表向きの私の身分は女皇陛下お付きの一武官に過ぎぬ。そんな者が豪華絢爛な部屋に寝起きしていたのでは、たちまち臣下達に怪しまれてしまうからな」
「大変なんですねぇ…」
「いや、実のところ私は皇子だった頃より今の暮らしの方が楽しいのだ。自由があるからな。自由の天地に比べれば地位や権力など塵ほどの価値も無い…」
「ウフフ…ツクヨミさんって面白い人」
「フフ…良く言われる。私はどうも皇族には向いておらんらしい…まあ、それはさて置き飲もう!酒だけは良い物を回してもらっている」
「はい!」
そう言うとツクヨミは棚から酒瓶と杯を二つ取り出して机の上に並べた。

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