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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 32

「何じゃと!?」
そんな二人のやり取りの隣で、アルスは黙ったまま剣の柄を握り締めて要塞を見上げていた。
(ここから俺の新たな戦いが始まる…そして今度こそ必ず仕留めてやるぞ、魔王ザイン!)

「全軍突撃ぃ――――っ!!!!」
シュテンドウジの号令一下、一斉に要塞へと攻め寄せる魔物達。

要塞側
「ヴァスティ様!!シュテンドウジ勢、来ます〜!」
「慌てるんじゃないよ!バトラス様の結界がある限り、奴らはこの要塞に指一本触れる事は出来やしないさ!」
その通りだった。要塞に向かって突っ込んだ魔物達は、中級以上の者はバトラスの結界に弾き飛ばされ、低級の者に至っては触れた途端に消滅した。
「おのれ!毛唐の魔術ごときに負けてたまるか!」
シュテンドウジはトゲの付いた金棒を振り上げ、渾身の力を込めて結界に向かって振り下ろした。
結界は壊れなかった。シュテンドウジは吹き飛ばされそうになりながらも、両足を大地に踏ん張り、その場に踏みとどまった。
「うおおおおおおお!!!!」
金棒は見る間に砕け散り、シュテンドウジの両腕も先端から徐々に消滅していく。結界に直接触れていない体の方までボロボロになっていく。
「いかん!!シュテンドウジ殿!死んでしまうぞ!」
ツクヨミが叫ぶ。
「おう!!このシュテンドウジ、例えこの身が滅びようとも道を切り開いてやろうぞ!鬼となって千年も生きた!もう充分じゃ!!破あぁ―――――!!!!」
次の瞬間、シュテンドウジの体は眩い光に包まれ燃え尽きた。
「シュテンドウジ殿…」
だが、結界には傷一つ付いていなかった。

魔物達の間に動揺が広がった。あのシュテンドウジが命を捨てて破ろうとしたのに、結界はビクともしなかった。これはもう絶対に破れないのではないだろうか…。
「待って!あれ…!」
セレナが指差して叫んだ。何と、結界に小さなヒビ割れが出来ているではないか。シュテンドウジはやってくれたのだ。


同じ頃、ザイン帝国。フウマコタローに破壊された城跡。魔物達を指揮して瓦礫を片付けさせていたバトラスはハッと何かに気付いたように顔を上げた。
「おや…結界が傷付けられてしまったようだ…」
「…どうしたバトラス?」
横にいたアレンが気付いて尋ねた。
「いえ、こちらの話です。失礼ですが私は少し用事が出来ました。魔物達の指揮をお願いいたします」
そう言うとバトラスは瓦礫から少し離れた所に立ち、手を組んで何やら呪文を唱え始めた。
「どうもあの男のやる事は良く分からないな…」


ヤマト国。
「あぁ!?結界の傷が直っていくわ!」
「シュテンドウジ殿が命と引き換えに切り開いた道じゃ!塞いではならぬ!」
「我らにお任せを!」
真田幸正と彼の配下が進み出た。
「真田陰陽衆、行けぇー!!」
陰陽衆とは大陸で言う魔導兵、そのヤマト版みたいなものだ。彼らは結界の傷口に向けて一斉に魔導弾を放った。
「おぉ!傷の修復が止まった」
だが、残ったのは辛うじて剣一本が入るくらいの小さな穴だった。
「これは一時的な物です。アルス殿、傷の修復が再開せぬ内に結界を切り裂いてくだされ!」
「え!?しかしシュテンドウジ殿の金棒ですらあの程度の傷しか与えられなかった結界をこの剣で…?」
「大丈夫じゃ!青導と紅導の腕を信じよ!」
「…分かりました。たぁ―――っ!!!」
アルスは剣を抜き、結界の穴に突き立てた。

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