しかし聞こえてくるはずの産声は、いつまで経っても聞こえてこない。
全て死産・流産してしまったのか？いや違う。
魔王ザインの仕掛けた成長促進の術の効果で、赤ん坊たちが少々大きくなって生まれてきたらしい。
育ちすぎた子供たちは、生まれたばかりにも関わらず幽鬼のごとく立ち上がると。
白目をむいて恍惚の世界に浸る、哀れな姿の母親たちに歩み寄っていく。
そしてビクビクと断続的に噴出する母乳を見た瞬間。
獣のような叫びを上げて母の乳房に吸い付いた。

「んおおぉぉぉうッ！？」
「ひぎいぃぃぃッ！？」
「はへえぇぇぇあああぁぁッ！？」

恍惚の世界から無理やり現実世界に引き戻された女たちは、たまらず歓喜の悲鳴を上げた。
だが子供たちは母親たちを解放しない。
それどころか、もっと母乳をよこせと言わんばかりに乳首を吸う力を上げた。
それはまるで血肉を貪る獣のようで。
おぞましくも異様な美しさをかもし出していた。
その光景にザインは歓喜した。
この世の破戒者、最強最悪・残虐非道の魔王の再出発に、これほどふさわしいものがあるだろうか？

「ふふふ・・・はーはっはっはっはっ・・・！！」

女が喘ぎ狂い、生まれたばかりの子供たちが母親のミルクを貪り吸ってさらに成長していく。
混沌と化した村の中で、魔王ザインの笑い声が夜空に高らかに響いていた。
そんな状況を、人間たちが黙って放っておくはずがあろうか？　いや、無い。
はたして、ザイン討伐のために冒険者が動くことになった。
だが、所詮相手は駆け出し。瞬く間に女一匹を残して皆殺しにした。
最後に残った女はエネルギー補充に使おうかと考えたが、ここで閃いた。
（いずれ俺は世界を征服する。その時に美女美少女をコレクションしていたら見栄えがいい）