PiPi's World 投稿小説

世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 25
 27
の最後へ

世界征服 27

お頭は剣を鞘に収めながら言った。
「いいか!?我々は神官ならば問答無用で皆殺しにする無法者の集団ではない!我々が討つべきは民を苦しめ懐を肥やす腐れ坊主だけだ!」
彼らは彼らなりの哲学があるらしい。お頭は再びザインに尋ねた。
「で、どうだ?我々の仲間にならんか?」
「興味ねえ。俺には目的があるからな…」
「そうか…残念だ。お前程の腕ならば、聖剣を取り戻す際の戦力にと期待していたのだが…」
「ちょ…ちょっと待て!?聖剣だと!!?聖剣がどうしたって!?」
ザインにとってそのワードは“勇者”と並んで最大興味事項だった。
お頭は話し出した。
「実はな、我々は今でこそ盗賊なんてしているが、元々は魔王ザインに滅ぼされた王国の騎士だったのだ。最後の砦が落ちた時、王子様から聖剣を託されたのだが……」
何と、彼らは聖剣を持って聖都を目指していた騎士達の内、二番目に離脱した集団…すなわち、神聖ロザリア教国の内情を見て嫌気が差し、聖剣(偽物)を持ち出して逃亡した者達であった。
後に持ち出した聖剣が偽物だったという事が判明したが、今さら仲間達の元にも戻れないので、ヤケクソで各地の神殿を襲って憎い神官共を殺して回っていたら、同じく教団に恨みを持っていた若者達や地元の盗賊やらが仲間に加わり、いつの間にか盗賊団を形成出来る程にまで膨れ上がったという…。
「ただ、我々もいささか大きくなりすぎた…今ここに30人いるが、山の中の隠れ家にはさらに100人以上の仲間がいる。その中にはこういうヤツらも少なくなくてな…」
そう言ってお頭は先ほど斬り殺した仲間達の死体を見た。
「お前らの事情はもう分かった。それで聖剣は結局どうなったんだ?」
ザインにとってはそちらの方が重要だった。
「詳しい事は断言出来んが、おそらくアルティス商業連合に渡った可能性が高い…」
「アルティスか…(あの国なら金を積めば何とかなるかも知れん…)」
「あくまで推測だがな…我々も聖剣の所在が判り次第、直ちに駆け付けて奪い返してやるつもりだ。そこには最初に聖剣を持ち逃げした連中もいるはずだから、その裏切り者共もまとめて皆殺しにしてやる!」
完全に自分達の行為は棚に上げている。
「そうか…それだけ判れば充分だ。ありがとうよ」
ザインは去って行った。もう彼らに用は無かった。
「おい!ちょっと待て」
「何だ?」
「この二人の女、我々がもらっても良いか?」
「どうする気だ?」
「隠れ家に連れ帰って性欲処理用の奴隷として飼う。民を苦しめた悪い神官ではないので殺しはしないが、神官である以上黙って見逃す訳にはいかんのだ」
そんな事を言って、おそらく今まで襲った神殿の女神官達も殺さずに隠れ家に連れ帰っているのだろう…。
「好きにしろ…」
ザインは去って行った。もう彼女たちにも用は無かった…。



再びヤマト国。シュテンドウジが各地の魔物に呼びかけて兵を募っているという話は、ヤマト国内にいるザインの配下の魔物達の耳にも届いた。
ここはヤマト国の最高峰、フジ山の梺に広がる樹海。人も魔物も寄せ付けない深い深い森の中に巨大な要塞が築かれており、そこがザイン派の魔物達の拠点となっていた。
「ヴァスティ様ぁ〜!ついにシュテンドウジが動きましたぁ〜!!」
そう言いながら大慌てで飛び込んで来たのは一つ目の大入道であった。
「落ち着きな入道!私達は天下の魔王ザイン様の臣下だよ!?シュテンドウジだか笛吹き童子だか知らないが、そんな地方勢力ひとヒネりにしてやろうじゃないの!」
これに応えたのは美しい女の魔物だった。彼女の名はヴァスティ。バトラスが去った後、ヤマト国内のザイン派の魔物達を束ねている大陸出身の淫魔族である。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す