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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 25

つまりシュテンドウジにとっても、自分に反発する者達を一掃する良い機会という訳だ。


その頃、ザインは魔剣を取りに、かつての魔王城へと向かっていた。供を連れず、一人でである。少数でも兵を動かすと人間達にバレる。かなり戦力も整って来たとはいえ、まだ無用な刺激はしたくないのだ。という訳で彼は気ままな一人旅と洒落込んだ。

ザインは人間の姿に化けて街道を進んだ。
「たまにはこうして一人でのんびりするのも良いもんだな…」
普段は側近達に囲まれ、夜も女達と共に過ごす。一人になる事は無いのだ。ザインは久しぶりに穏やかな気分だった。

ある宿場町の酒場でザインが一人で酒を飲んでいると、旅人らしい男がザインに話しかけて来た。
「なあ、あんたロザリア教国の方へ行くのかい?」
「ああ、そうだが?」
ロザリア教国の領土を通らないと旧魔王城へは行けないのだ。
この旅人の男はザインを見て旅人仲間だと思ったのだろう。まさか現在世界中を震撼させている人類の敵・魔王ザインとも知らずに…。
「だったら最近ロザリア領内に出没する正義の盗賊の話は知ってるかい?」
「正義の盗賊?何だそりゃ?」
「神殿ばかりを専門に襲う盗賊だそうだ。神殿には神官共が領民達から奪った食い物や金がたっぷり蓄えられてるからな。そして神官共を皆殺しにした後は、分捕り品を気前良く貧しい民達に分け与えてやるそうだ。しかも一般人には絶対に手を出さねえ。まさに義賊さ!」
「へぇ〜、もの好きなヤツらもいたもんだ…」

そんな話を聞いて、ザインはロザリア領内に入った。
しばらく歩いて行くと、人気の無い道の向こうに数人の人だかりがあった。
良く見ると、二人の女神官が5〜6人の目つきの良くない連中に絡まれている。
「グヘヘ…姉ちゃん達ぃ、俺達に見つかったのが運のツキだったなぁ。俺達ぁ、近ごろ話題の神殿専門盗賊団よ。神官は全部ぶっ殺す…」
「兄貴ぃ、コイツらただ殺すなんて勿体ねえよ。殺す前に犯してやろうぜぇ?」
二人の女神官の内、年上の方は震えながらも、必死に年下の方をかばいつつ男達に言った。
「ど…どうかお見逃しください…私達は修業のために諸国を巡っているだけなのです」
「うぅ…あ…姉弟子様ぁ〜…怖いですぅ〜…」
そんな光景が繰り広げられているにも関わらず、ザインは無視して通り過ぎようとした。
何も他人のトラブルに自ら首を突っ込む事は無い。だが、年上の神官の方がザインに気付いて呼び止めた。
「ちょ…ちょっとそこのあなた!黙って通り過ぎようとしないで助けてください〜!!」
ザインが腰に剣を下げていた事もあった。旅の剣士にでも見えたのだろう。
(あ〜あ…面倒くせえ事になった…)
ザインは渋々そちらの方に向き直って男達に言った。
「あー…お前ら、その…なんだ…俺もお前らと似たような事をして来たから、お前らの気持ちは充分わかるが…まあ、今回の所は見逃してやってらどうだ?」
「ハァ?何だぁテメェは?」
「妙に俺達に同情的だが、邪魔立てするってんなら容赦しねえぞ!!」
リーダー格の男は剣を抜いてザインに斬りかかった。
「…ったく、聞き分けの悪い野郎だ…」
次の瞬間、ザインは目にも止まらぬ早技で剣を抜くと、男を脳天から股間まで真っ二つに空竹割りにしたのであった。
「あ…兄貴がやられたぁ〜!!」
「こいつタダ者じゃねえぞ!」
「畜生、覚えてやがれ!」
男達は月並みなセリフを吐いて逃げて行った。
ザインにとっては人間一匹を倒す事など赤子の手をひねるより容易い。本来なら魔法を使って全員を一瞬で血祭りに上げる事も出来たが、今回はお忍びの旅だ。あまり目立つ事は避けた方が良い。
「あ…あぁ…」
一方、二人の女神官は抱き合ったままガタガタと震えていた。
「あ…あの…あの…た…助けていたたいて…あ…ありがとうございます…」
「なに…良いって事よ。じゃあな…」
ザインは剣を収めて立ち去ろうとした。

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