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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 21


「う…うぅ〜ん……わ…私はまだ生きているのか…」
王子は痛む体を起こした。彼の服はズタズタに裂けて半裸となっている。辺りを見回すと、あれだけいた魔物達が全てケシズミと化していた。さすが勇者の師でもあった老魔導師の作った剣だ。
「ん?あれは…」
王子はケシズミの中に倒れている裸の女を見つけた。ローラだ。彼女は人間に戻っていた。
「魔を祓う剣だったから、魔物の部分が消え去り、人間に戻って死んだのだな…」
王子はローラの体を抱き上げた。
「どこか見晴らしの良い場所にでも埋葬してやるか…」
「…うぅ…」
「あ!生きていたのか…!」
「お…王子…!?」
「おはよう、ローラ将軍。どうやらお互い無事だったようだな」
王子はローラを下ろした。彼女は自分の体を見て驚いた。
「そ…そんな!?人間に戻っている!?」
「お前の祖父の剣の力だ」
「そうだったのか……王子…いえ王子様、私を殺してください…」
魔物でなくなった彼女には、人間の心が戻っていた。もうザインの元に戻る気は無い。もう死ぬしか無かった。
「…殺したくても剣は壊れてしまった。それに私にはやらねばならない事がある。お前、責任を感じているのなら私に力を貸せ」
「やらねばならない事とは何ですか…?」
王子は壊れた天井から空を見上げて言った。
「国の再興だ!」


ローラの部下だった魔物の一匹は、王子の攻撃を何とかかわしてザインの城に帰り着き、事の次第をザインに報告した。
「何だと!?じゃあその王子もローラも死んだのか?」
「いやぁ…その…」
「何だ?」
「逃げるのに精一杯で確認出来ませんでし…」
ドオォォン!!
次の瞬間、ザインの手から放たれた魔法弾によって、その魔物は吹っ飛ばされた。
「どうかお気をお静めになってくださいザイン様。ローラ殿は惜しい事でございましたが…」
ザインの傍らに控えていたバトラスが言った。
「ローラはいい。女の代わりなどいくらでもいるからな。問題は聖剣だ」
「確かに…かつてザイン様に深手を負わせた聖剣の行方は気になりますなぁ…」
「全くだ。勇者の奴もヤマト国にいるという事以外は分からんし…。勇者と聖剣…この二つの内どちらか一つでもどうにかしなければ俺は枕を高くして眠れん!」


その勇者はヤマト国サカイの町にいた。
「完成じゃ。刀は蘇ったぞ」
青導と紅導は鍛え直した剣をアルスに差し出した。
「これは凄い!あの聖剣にも見劣りしない見事な物だ!」
元は量産の駄剣だったというのに…。その出来映えに感心するアルスにツクヨミは言った。
「ではアルス殿、参るとするか」
「参る?どこへ…?」
「キョウの都のオオエ山じゃ」
それに対してセレナは言った。
「何だか吐きそうな名前の山ね…そこに何しに行くの?」
「うむ、オオエ山に住む鬼の一族の頭領シュテンドウジに会うためじゃ。奴はヤマト国の妖怪の王じゃ。ヤマト国内に蔓延るザインの息の掛かった妖怪共を一掃するため、シュテンドウジの協力を求めに行く」
セレナはアルスに耳打ちした。
「ねえ、何か結構大掛かりな事になって来てるわよ?成り行きでヤマト国内のザインの配下を倒すのに協力する事になっちゃったけど、私達には本家本元のザインを倒すっていう最終目的があるのよ?あんまり時間喰ってる余裕無いし…これ断れない?」
「いや、駄目だよ…。僕はヤマト国の人達には色々お世話になったんだ。しかも僕のせいで町一つ滅ぼされちゃってるし…やっぱりそれぐらいの義理立てはしていかないと…」
「も〜う、本当にお人好しなんだから…」
「そこ!何をゴチャゴチャ話しておる。さっさと参るぞ」

このように勇者がヤマト国で足留めを喰っている間、聖剣はザイン帝国の領内を脱し、神聖ロザリア教国の領内に入った。しかし、聖剣をどこの国に持って行くかに関して、騎士達の間では依然として意見が割れていたのだ…。

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