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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 20


その頃、ローラの率いる軍がついに王国軍の残党達の所在を突き止めた。
「とうとう尻尾を掴んだぞ!全員突撃ぃーっ!!」
「「「ウオォ―――ッ!!!」」」

「王子!魔物軍の襲撃です!」
「ついに発見されましたぁ!!」
「落ち着け!ここに至っては慌ててはならん!」
王子はそう言うと布にくるまれた細長い物を部下達に渡した。
「王子、これは…?」
「聖剣だ。これだけは魔物の手に渡してはならん。お前達は裏口からこれを持ってロザリア教国に逃げろ」
「王子はいかがなされますか?」
「…私はここで討ち死にする。国外へは逃げん。先に亡くなった父上と母上の後を追い、死んでこの国の土となって…」
その時、ドン!!ドン!!と外側から扉が打ち付けられた。
「…クソ!最期の言葉ぐらいちゃんと言わせてくれてもいいじゃないか……まぁ良い。行け!お前達」
「うぅ…王子様…」
「この聖剣、必ずやロザリア教国に…そして勇者殿の手にお渡しいたします!」
「うむ、頼んだぞ!」
部下達は脱出して行った。直後、扉が破壊され魔物軍がなだれ込んで来た。その先頭にいた者を見て王子は目を丸くした。
「ローラ将軍ではないか!?」
「お…王子様…!?」
つい昔の癖で“様”を付けてしまうローラ。まさかまだ王族が残っていたとは…。彼女にとってはかつての主家の者に当たるのだ。しかし驚いたのは王子の方も同じだった。
「お前が魔物と化した事は聞いてはいたが、まさかこの軍の指揮官だったとはな…面白い!お前の祖父が残したこの剣で相手をしてやろう!」
「お…お祖父様が残した剣だと…!?」
「そうだ!聖剣ほどの力は無いが、この場にいる魔物を全て消し飛ばすぐらいは出来る!」
次の瞬間、隠し砦はまばゆい光に包まれた。

「おぉ!」
「あの光は…」
「王子様があの剣を使われたのだ…」
聖剣を持って砦を脱出した部下達は、砦から少し離れた所でその光を見た。
「諸君、モタモタしている暇は無いぞ。王子様のお言葉通り、一刻も早くロザリア教国を目指そうじゃないか!」
と言うリーダー格の騎士に、一人の若い騎士が意見した。
「その事なんですが隊長、自分はこの聖剣をロザリア教国に持って行くのはどうかと思います」
「む…何故だ?」
「自分はロザリア教国という国が信用出来ません。現教皇グレゴリウスは表向きは聖人君子で通っておりますが、その正体は強欲でずる賢く、己の栄達と保身のためならば平気で人も殺す、金と女が大好きな生臭坊主だと聞いております」
「最悪だな…」
「そんな人物が治める国には聖剣を託せません。だいたい自分は坊主というものが嫌いでして…それよりはアルティス商業連合に持って行った方が良いと思います…」
それに対し、別の騎士が言った。
「アルティス連合!?冗談じゃない!あんな商売人の国に聖剣を渡したら、大金と引き換えに魔王に売り飛ばすかも知れないぞ!?あいつらこそ道義もへったくれも無く、金のためなら何でもやるような連中なんだからな!隊長、コイツは昔、恋人を坊主に寝取られた事があって、それから坊主を毛嫌いしてるんです!だからアテになりませんよ」
「そ…そんな事は今関係無いだろう!?」
そこにまた別な一人が出て来て口を挟む。
「あの〜、僕はグランディア帝国に持って行った方が良いと思うのですが…」
「いいや、私はヤマト国に持って行くべきだと思いますね!」
てんでバラバラ、まさかここまでまとまりが無いとは思いもよらなかった。ついにはケンカ相手に決闘を申し渡す者まで現れ、隊長はそれを制して言った。
「お前たち少しは落ち着かんか!!仲間割れしている場合ではないだろう!?こんな情け無い姿を王子様が見たら悲しまれるぞ!まずはこの聖剣を持って国を出よう。魔王の手の届かない安全な所まで来たら、それから聖剣をどうするかじっくり話し合おうじゃないか」
「はあ…」
「まぁ、そうですな…」
騎士達は一応納得したようだった。

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