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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 17


しかしマリンの淡い希望は、その翌日に打ち砕かれる事となる。何と第二牧場(仮称)に魔王ザインが姿を現したのだ。
「俺の魔法にかかりゃあ、人間の体の成長を早めるなんざ簡単さ…冥・命・性・征・盛・生・産・育・魂・魔…」
ザインが呪文を唱え始めると子供達が苦しみ始めた。
「アァ〜ン!!ママぁ!助けてぇ!!」
「お母さぁ〜ん!!体が変だよ!怖いよ〜!」
マリンはこの感覚を知っていた。
「ヨハン!!アンナ!!」
「母ちゃん!」
間違い無い。バトラスの成長魔法を受けた時と同じだ。だが他の娼婦達はそんな事は分からないから、苦しむ子供達を見てパニックに陥っている。
「坊や!!一体どうしちゃったのぉ!?……うぅっ!?」
その娼婦達の体にも変化が表れ始めた。腹が膨らみ始めたのだ。
「ハハハッ!俺の魔法で腹子も成長させているのさ!!」

娼婦達の魔法陣が出現した。マリンはその魔法陣を知っていた……出産時妊婦や赤子を保護する複合魔法だ。

「死産されては困りますな」

バドラスがさりげなくアシストし、娼婦達から赤子が這い出して来る。既に一歳〜二歳は成長している。

「あのガキ二人はギリギリか」

「恐らく抵抗が付いたと……」

ヨハンは十二歳、アンナは十才までしか成長しなかったが元に戻る事は無かった。

人間を魔物化する方法は古の時代はあったらしい……所がザインが魔王になった頃にはそれは廃れていたがバドラスが万が一の時に備えて研究している。

「ザイン様、これは控えた方がよろしいかと」

「知能が付かないからか……砦の一件もある」

「その砦ですが地下は魔鉱石の鉱山です、もう少しで連鎖反応をしていれば大地が割れ、火山噴火もありましたぞ」

ザインも流石にゾッとする。彼が納めていた国は勇者一行により火の河に飲み込まれていたからだ。

「採掘に関しては任せる」

「既に準備はしてます……」

「それにつけても小賢しい王国の残党共め!」
彼らは国内にいくつもある隠し砦を転々と移っているようで、その所在は未だに発見されていない。
「しかも私の調査の結果、奴らは以前ザイン様に深手を負わせた聖剣を持っているそうで…」
まぁ、今のところ勇者と聖剣が一緒でないだけマシという物だ…。
「だがこのまま奴らを野放しにしておけば聖剣が勇者の手に渡るのも時間の問題だな…」
「ご安心を…既に手を打ちましてございます」
「ほう、何をした?」
「勇者の方を先に殺してしまう事にしました。何せヤツの潜伏先は、私もかつて潜伏していたヤマト国ですから、私の作り上げた組織が使えます。先日も勇者の目撃情報のあった町を襲わせて全滅させました。女は殺さずに我が国に送るよう指示しましたので、いずれ届くでしょう」
「それは良い!だが皆殺しにした男達の中に勇者が混じっていたとなると、何とも張り合いが無いがな…」

数日後、ヤマト国の女達を乗せた馬車数台がたどり着いた。
「何だか少ないような気がするが…一つの町に女がこれだけか?」
「あ!…もしやヤツら女を自分達の元に残しているのやも知れません!」
ヤマト国の魔物達は元々ザインの配下ではなかったので忠誠心が薄いのだ。
「許せません!ザイン様、すぐに討伐の軍を差し向けましょう!」
「落ち着け。ヤマト国まで軍勢を送るには途中の国々も滅ぼしていかねばならん。そうなれば大変な遠征になる。…という訳でヤマト国の魔物達にはまだまだ働いて貰わねばならん。殺すのは世界征服完了後でも遅くはあるまい」
「なるほど、道理であります。さすがはザイン様」

それより先に軍を差し向けるべきは、未だ国内に存在している敵であろう。

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