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世界征服
官能リレー小説 - ファンタジー系

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世界征服 15

 翌朝、少女とハンゾウは旅の者を装ってアルスが住む村へと向かっていた。

「姫様」

行く手には土童と呼ばれる低能妖怪が道を塞ぐも彼女はヤマト刀にしては反りが無く大陸剣に近い形状をした珍しい刀を抜く。

「姫様の手を汚す訳には」

一振りした瞬間に風が起き、土童を切断した。

「ハンゾウ、わらわは呪いでおなごにされた身だ。これ位の憂さ晴らしはさせろ」

「……」


ヤマト国は王が変わる度に王の子の血が流れる事も珍しくない……アマテラス女帝の時にもそれなりの血が流れたがある者は彼女を呪い殺す為の術を放つも彼女の息子が盾になった。結果息子は娘にされたのだ……。

「女帝の後継者は自ら産んだ男児を持つのが我が王家の仕来り……」

「わらわはこの国を治めるには技量が足りない、寧ろ女子の身で十分じゃ」

こんな豪快な少女に嫁を取る武将はいるのか……ハンゾウは呆れていた。何しろ大の男が振り回す事が困難の刀“鬼斬丸”をお手玉の様に操るのだから……。

「見えましたぞ」

「ハンゾウ」

二人の視線の先にはアルスが大地にクワを振り下ろして耕していた。

「……アマテラス女帝の使いの者か?」

少女はギョとした。

「……そうです。ですが勅命を申す為に来たのではないのです」

「小屋で話そうか」

「はい」

少女は深く頷く。

「おや…」
アルスの家に足を踏み入れた少女は小さな驚きの声を上げた。自分の他にも二人の女の姿があったからだ。セレナとユキである。
セレナは昨夜、アルスの家に泊まった。彼女は何とかアルスを説得しようと、暫くここに滞在する気のようだ。
今朝アルスの家に来てセレナと対面したユキは、セレナがかつてアルスと共に旅をした仲間だったという事を知って初めは複雑な心境だったが、二人の様子を見ている内に、特に恋仲だったという訳ではないようだと知って安堵していた。
「フフフ…さすがは音に聞こえし勇者アルス殿。女性にはおモテになるようですね」
「ご冗談を…して、ご用件は?」
「申し遅れました。私はヤマト国女皇アマテラスの一子、ツクヨミと申します」
「ツ…ツクヨミ様…!?」
驚いて目を丸くするアルス。
「馬鹿な…ツクヨミ様と言えばこのヤマト国の第一皇位継承者でありながら、帝を庇って呪いにかかり、お亡くなりになられたと聞いております。第一ツクヨミ様は皇子様のはず…あなたは女性ではありませんか」
「それは公式の発表だ」
ハンゾウが言った。
「実際はツクヨミ様は死んでなどおらぬ。呪いによって女となってしまわれたのだ」
「フフ…慣れれば女の体もそう悪い物ではありませんよ」
そう言って笑うツクヨミにアルスは尋ねた。
「なぜ真実を隠され、死んだ事になされたのですか…?」
「理由などありませんよ。強いて言うなら、世の人々の前から姿を消したかった…それだけです。あなたも同じでは?アルス殿」
「はあ…」
それに対してはアルスは何とも言えなかった。
「…しかし、私などがいなくなろうと何の問題もありませんが、あなたは違う。多くの人々があなたを必要としているのです」
それを聞いたアルスは、もう沢山だと言いたげにツクヨミに言った。
「…やはりあなたも私に魔王討伐を促しに来たのですね。それでしたら申し訳ありませんがお引き取りください。私は勇者に戻る気など無いのですから…」
「き…貴様ぁ!!恐れ多くもツクヨミ様に対して…!?」
いきり立つハンゾウを制してツクヨミはアルスに言い放った。
「…先日、我が国の町が魔王の配下と思しき軍勢に襲われ全滅いたしました…」
「……っ!?」

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