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呪いの性剣
官能リレー小説 - ファンタジー系

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呪いの性剣 9

「・・・っ!?」

剣女がぼそりとつぶやいたその次の瞬間。
弟子の全身におぞましい蟲―――虫と書くような生やさしい存在ではない―――がはい回るような悪寒が駆け巡った。
彼も、おそらく女自身も気づいていないだろう。
剣女が、少し・・・ほんの少しだけ口角を上げて笑みを浮かべていたことを。
勢いに任せてとんでもないことを口にしたのではないか?
弟子の脳裏にそんな不安がよぎる。
だが。言葉に出してしまった以上、もう引っ込みはつかない。
そもそも、彼には叶えたい夢、果たしたい目的がある。
ヘビににらまれたカエルのようにブルブル震えながら、弟子はなけなしの勇気を振り絞って次の言葉を待った。
そんな待ち人の口から出たのはまったく予想外の言葉。

「・・・よかろう。ならば我ら2人を蹂躙しろ。
 我らの心と身体におまえが主人であることを刻み付けて見せろ。
 そうすればお望み通り、おまえの師匠を助けてやろう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はいぃ?」

あまりにぶっとんだ要求に、弟子は返事をするだけで1分もの時間を要した。
もちろん相手の意図や言葉の意味などまったく理解していない。
だってそうだろう?
命を差し出せと言われてもおかしくない状況で言われたのが『自分たちを抱け』なんだから。
しかも『弟子の奴隷になるように調教しろ』というおまけつきだ。
どう考えても弟子にしかメリットのない要求。
カモがネギを背負い、鼻歌を歌いながら鍋の中にいるような話に、弟子もすぐに返事ができない。
できたのは剣女に授乳されていた師匠のほうだった。
彼―――いや今は彼女か?―――は、剣の言葉を聞くなり、目の色を変え、あわてて剣女の乳房を持ち上げて猛抗議した。

「ふっ・・・ふさけるな!神に仕えし我らに、討伐・封印対象である貴様らと契約しろと言うのか!?
 ならん、ならんぞっ!!そんなことは、それだけは絶対に許さんぞっ!?」
「だがそうしなければおまえも我も共倒れだぞ?
 今は我の乳で生かしているが、主人となるべき男がいなければそれも尽きる。
 そうなれば後は2人仲良く鉄屑となって大地に還るしかないのだぞ?」

激昂する師匠に対し、呪われた剣は至極冷静に意見を主張する。
だが怒りに飲まれた彼女に、そんな理屈は通じない。

「ダメだダメだダメだ!!たとえ死ぬことになっても、我らが神を裏切るわけにはいかんっ!!
 貴様はここで私と一緒に朽ちるのだっ!!」
「・・・仕方がない」

弟子のことをほっぽってヒートアップする師匠に、剣女はため息を1つ。
そして次の瞬間、女豹のような動きで師匠の唇を奪った。
舌を絡めているのか、静まり返る空間でネチャネチャと水っぽい音がやけに大きく聞こえる。

「・・・っ!?〜〜〜っ!?〜〜〜〜〜〜っ!!」

師匠は突然の音に驚いていたようだが・・・やがてその反応がおかしなものに変わる。
まるで陸に上げられた魚のようにビクンビクンと痙攣を繰り返し始めたのだ。
そして剣女が口を離すころには怒っていた時の元気は見る影もなく。
ぐったりと地面に横たえていた。
何も知らない第3者がこれを見たら、剣女が師匠をキスで強制昇天させて気絶させたのだろうと思うだろう。
だがそうではない。彼女のやっていたことは、もっと凶悪で恐ろしいものだった。
彼女は弟子のほうに顔を向けると、冷笑を浮かべて言った。

「さて?今まですっかり忘れられていた哀れな弟子よ。
 おまえの師匠は私に精気を吸い取られて死ぬ寸前だ。
 助けるにはおまえの精気が必要となる。だがおまえは1回出したらなかなか精を放つことができないのだったな?
 そこで取引だ。私と契約し、所有者になるのであればコイツの命を助けてやる。
 その情けない体質も治してやろう。
 さあどうする?早くしないと大事な支障が死んでしまうぞ?」
「・・・っ!?」

それは悪魔の交渉だった。NOと言えば師匠は死ぬ。弟子の目的は達成できない。
YESと言えば師匠は助かる。目的も果たせるがおそらくそれ以上のリスクを背負うことになる。
退くも地獄、進むも地獄。
タイムリミット付きの質問に対し、弟子の出した答えは・・・。

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