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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 65

そう自分に何度も自分に言い聞かせているのに、身体の震えは一向に治まらない。
それどころか、ちょっとでも気を緩めればこの場から逃げ出しそうになっている。
追い詰められたネズミと化した邦人は、PSYに目覚めたあのときのことを思い出した。
オーガに襲われたあの時もこんな感じであったことを。
だが何の力もなかったあの頃の自分とは違う。
何より自分には絶対に生きて帰らなければならない、理由があるのだ。
そう思った瞬間、身体から震えが消え、心から勇気が湧き上がった。

「かかって来い、化け鳥ッ!!
 その身体、ヤキトリにしてやるからよぉッ!!??」

邦人の怒号が伝わったのか。
ギガント・バードはゆっくりと降下を始めた。
豆粒ほどの影が徐々に大きくなっていく。
きっとそのスピードは、自分の想像を軽く超えているだろう。
邦人は目測によるタイミングのずれを防ぐため、最高の攻撃を仕掛けるためにPSY『ヒート』を発動させた。
力が右手に集まり、形を成していくのがわかる。
だがまだ足りない。一撃で、あの化け鳥を殺す力を!
邦人は決死の思いで力を集め続けた。
だが、邦人が力を集めきる前にギガント・バードの急降下が予想以上に速かった。
鋭い爪で捕まれ、邦人の体が一気に上空へと持っていかれる。
「ぐっ、こっの野郎!!」
時間を掛ければ掛けるほど高度が上がって死亡する確率も高くなる。
急速に遠のいていく地上が邦人の目に映り、反射的に貯めた力を解放する。
失速して一気に膨れ上がるギガント・バード。
肉片と臓物と骨と高温に加熱された血をばら撒きながら爆散する。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
落下速度に本能的に恐れて叫び声を上げる邦人。
あわや地上に激突死するしかないと思われたが森に茂る多数の枝が邦人の体を受け止める。
背中を打ち付け、景色が目まぐるしく変わり、バキバキと落下の慣性に耐えられない細い枝が折れていく。
尻餅を付く形で地面に落ちた頃には枝で引っ掛かれた多数のかすり傷まみれだった。

「いやああぁぁぁっ、邦人っ!邦人ぉっ!?」

そこに真っ先に駆けつけたのはメアリーだった。
半狂乱になった彼女は、レインたちの拘束を振りほどき、引っかかった邦人を助けようとする。
そこに追いついたマギたちが再びメアリーを拘束。
暴れる彼女を落ち着かせた。

「落ち着いて、メアリーっ!邦人なら大丈夫だからっ!」
「いやああぁぁッ!邦人っ!邦人ぉっ!!」
「ええい、埒が明かんっ。ルーク、おまえ邦人を助けに行けっ。
 私とレインはこのバカを何とかするっ」

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