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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 61


笑いすぎて乱れた呼吸を整えながらのマギの告白に、邦人は大きく反応した。
無理もあるまい。
まさか自分の世界に帰るための手がかりがこんなにも早く、しかもこんなところで出会うことになるとは思ってもいなかったのだ。

「『召喚術』を知った私は、持てる限りの知識と技術を総動員し、『召喚術』の復活を試みた。
 だが儀式を行ってみたものの、何も起こらず、失敗したものとばかり思っていたが・・・。
 クックック、まさか違うところに転送されていたとはな!」

こらえきれなくなったのか、マギが再び笑い出す。
それはそうだろう。失敗したものとばかり思っていたものが、実は成功していたのだから。
その一方で邦人は呆然としていた。
彼は今、自分が何をすべきかわからなくなっていたのだ。
自分をいきなりこの世界に呼び出したかもしれない、この女に怒るべきなのか。
それとも崖に落ちて死ぬはずだった自分を助けてくれたことに感謝すべきなのか。
それとも元の世界に帰れるかもしれない可能性に喜ぶべきなのか。
あらゆる感情がわきあがって、ごちゃ混ぜになっていた。
そんな邦人を再起動させたのは、マギでもメアリーでも、ましてレインでもルークでもなかった。

キイィィィ・・・!

彼を、正確には彼らを再起動させたのは、どこからともなく聞こえてきた鳥の声。
鳥と呼ぶにはやけに大きな声に、全員が空を見上げると。
上空で一羽の鳥がぐるぐると旋回しているのが見えた。
それ自体は珍しくも何ともない。
邦人の世界でもよく見かけることのできた光景だ。
しかしよく見ると。何やら遠近法がおかしなことに気がついた。
鳥ははるか上空を飛んでいるはずなのに、やけに大きく見えるのだ。
距離感がおかしくなったか?邦人がそんなことを思ったその時。
レインとルーク、そしてマギが邦人とメアリーの手をつかんで走り始めた。

「きゃあっ!?」
「おわっ!?い、いきなり何すんだ、オイっ!?」
「説明は後だ!早く近くの森の陰に隠れるぞっ!」
「まったくもう、何なのよ今日は!?
 巨大ゴーレムが出たと思ったら、今度はあんな化け物に出くわすなんて!」
「ええい、せっかくのいい気分が台無しだ!あの大怪鳥め・・・!」

それだけで邦人たちはレインたちがどうしてこんなにあわてているのか、理解できた。
あの鳥だ。3人はあの鳥を警戒して逃げているのだ。
その証拠に、上空を旋回していた鳥は突然こちらに向かって急降下を開始している。
その下降速度に比例して、鳥はどんどんその大きさを増していく。
気がつけば、片足で大人1人を簡単に捕まえられるほどの大きさに。

「うおあぁッ!?」
「きゃあぁッ!?」

邦人とメアリーがたまらず悲鳴を上げたその瞬間、ルークがあわてて声を張り上げた。

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