FANTASYC PSY 7
「そうだな……島国で、北と南に伸びているんだ。一年を通して暑い時期も寒いのも巡ってくる。俺達はそれを季節って呼んでいて、それぞれ春、夏、秋、冬っていうんだ。季節を纏めて四季って呼ぶ人もいるけど。それで国としては平和なんだけどな、心が病んでいたよ。鬱になった人もいるし、ムカついて人を殺してしまう人もいたし……命を大切にしない人が事件を起こしていた国だったよ。戦争なんて終わったのは60年以上も前だってのにさ」
「国は誰が治めているの?」
「国会ってとこで働いている人達が法律を定めているんだ。だから、それはそれなりに高い見識さえあれば皆から選ばれるんだ。法を決めるにはそうやって選ばれた人たちが投票して決める……だったかな?」
と最後の所が疑問系になってしまい、苦笑する邦人。
「かな?って自分の国なのにうろ覚えなの?」
「はは、そういった方は苦手なんだよ。あと、魔法もなかった。あっても御伽噺や小説の中だけの話しさ」
「そうなんだ。魔法の無い世界なんて信じられない」
魔法が無いという事にメアリーは驚いた。メアリーの世界にとって、魔法は当然として存在しており、一般にも広く知られている術だ。
それなりに勉強をすれば使えるが、そのような場所に行けるのは大抵は下級貴族からだ。
一般人には手の出せない領域だし、一日を生きるのも必死な彼らがそのような場所に行く余裕はないだろう。
メアリーもまたそういった人たちに入るので、魔法の存在は知っていても使えない。
「メアリーからしてみればそうだろうな。そっちの方はどんな感じなんだ?」
「うーん、邦人の国と似ているかな?元老院ってとこが法を定めているんだって」
「そっか」
とまあ、さまざまに互いの世界を話して、雑談してから二人は就寝に入ったのだが……翌日から、半日も経たないうちに筋肉痛で再びベッドへ直行する羽目になるとは思っていなかった邦人であった。