FANTASYC PSY 6
だが、魔法瓶の中身は既に飲み尽していたし、湿布は空袋、貨幣が違うから全財産も役に立たない。
携帯電話も通話もメールも出来なくて当然だから、せいぜいメモ帳機能か電卓ぐらいしか役に立たない。
なにより邦人が後悔したのはペットボトルじゃなくて魔法瓶と言う点だ。氷さえあれば、塩水を入れて上下に振れば携帯用の氷枕に出来たからだ。
魔法瓶では温度を遮ってしまい、携帯用氷枕は温度が伝わりやすいペットボトルが最適なのだ。
「そういえば、スワロー共和国の他にもどんな国があるんだ?」
泥で汚れたリュックの口を開けて中身をごそごそと整理をしながら、メアリーに聞く邦人。
「そうねぇ……ブリザルド帝国、ラグランジュ王国、マルガレイド公国、チャーナ民商国、ケンブレア合衆国ね。スワロー共和国は大陸の南東よりに位置しているの」
「なるほどな。どうりで暖かく感じる訳だ」
「ブリザルド帝国は西の方にあって、その北東隣にラグランジュ王国、南東隣にマルガレイド公国になっているわ。大陸の最南端にはチャーナ民商国、最北端はケンブレア合衆国になっているわ。ちなみに、スワロー共和国の北西隣にラグランジュ、北はケンブレア、南西から南にかけてはマルガレイドに囲まれているわ」
そこでメアリーは一区切りを置いて、本棚に仕舞っていた地図を取り出す。巨大な大陸にそれぞれの国の国境線が敷かれている。
「ここ以外の大陸はないのか?」
「残念だけど、誰も見たことないらしいわ」
「そっか」
古代大陸 パンゲアのように一つに纏まってこの形になっているのか?それとも、単に他の大陸が見つかってないだけなのか?
今の邦人には知る術が無い以上、答えが出ないから考えるのはやめた。
「ねぇ、邦人の国はどんな所なの?」
今度はメアリーが邦人に質問をする。言葉が弾んでいるから、興味津々というのが邦人には感じられた。