FANTASYC PSY 49
メアリーが携帯用の地図に自分たちの現在地を示す。
邦人もこっちでの生活にある程度慣れてきたが、文字の読み書きや文化の違いなどまだまだ慣れない点も多い。
そういう意味でもこの2人はお互い必要な存在なのだ。
邦人はメアリーが教えてくれた現在地を元に、これから先の道筋をたどると・・・。
「えーと、この先は・・・。フォル、ス・・・海?」
「惜しい。海は海でも植物の海。樹海よ」
その言葉に邦人は富士の樹海やジャングルのような、危険地帯を想像する。
地図を見る限り一応道はあるようだが、今まで以上に危険な生物や植物、迷いやすい地形などいろいろあるかもしれない。
そして気になるのはその樹海の街道から外れたところにある赤い×印。
「・・・これは?」
「うん。村で情報収集をしてわかったんだけど・・・。
最近このあたりで大きな鳥のような魔物を見たって噂なのよ」
「鳥ぃ?」
メアリーの言葉に、邦人は持てる限りの想像力を働かせつつ考えてみる。
しかしハゲワシを巨大化させては見たものの、鳥に襲われた経験のない邦人には、その恐ろしさがいまいち伝わってこない。
彼にわかるのは、飛んでいる巨鳥に自分のPSY『ヒート』が通用するかということだけ。
「わからないわ。それが本当に鳥なのか、それとも違う生き物なのか・・・。
あくまで噂だし、その噂もほとんどが遠目から見た、一瞬で飛び去ったってものばかりだから・・・」
なるほど、デマかもしれないが油断しないで行こう。
そうメアリーは言いたいのだと邦人は思った。
・・・となると、もし噂が真実で、それに襲われたときのことを考え、しっかり準備しておいたほうがいいかもしれない。
「じゃあ、準備だけでもしっかりしておいたほうがいいな」
「ええ。もうしばらくここに逗留して、情報収集や旅の準備をしましょう」
邦人とメアリーが今後の活動方針を決めたその時だった。
「ん・・・?おい!レイン!あれ!」
「え?ああっ、あなたたち!」
「「!?」」
近くで聞き覚えのある声がし、そちらを見てみると・・・。
そこにはヴァイトタートの1件で知り合った、レインとルークの2人が手を振りながらこちらにやってくるところだった。