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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 40

「よし・・・それじゃオレがアイツの注意を引くから、メアリーはここから急いで離れてくれ。
 素っ裸のままじゃアイツに勝ち目はねえ・・・!」
「え!?で、でも・・・」
「いいから!早く逃げるんだぞッ!?」

邦人は言い終わるが早いか、持っていたナイフを片手にヴァイト・タートに向かって突っ込んでいく。
先ほどコイツが飛び出してきたときは驚いたが、所詮はカメの化け物。
ここ陸上ではそれほど早くないだろうと踏んだのだ。
確かに邦人の考えは間違っていない。
しかしそれは歩くという点においてだ。

「グルオオォォォッ!!」
「何ッ・・・!?」

ヴァイト・タートはぐっと身を縮めると、邦人に向かって飛びかかってきた!
予想を上回る動きにしてやられた邦人は、ヴァイト・タートの体当たりをよけられずに左腕に噛み付かれた。
しかし問題なのはそこではない。
問題なのはヴァイト・タートの進む先が、湖であると言うことだった。
砲弾と化したヴァイト・タートは邦人に噛み付いたまま、湖の中へと姿を消す。
邦人が水中に没する間際に認識したのは、メアリーの悲痛な叫びだけだった。

「・・・・・・ッ!!」

水中に引きずり込まれた邦人は、さらに奥底深くに引き込もうとするヴァイト・タートの顔のそばでもがき続けていた。
いきなり水中に引きずり込まれたこともあり、呼吸を止めるのが限界に近づいているのだ。
もし今空気を吐いてしまえば、もう肺に新しい酸素を取り込むことなく溺死することだろう。
メアリーと旅をすることでようやく生きる希望を見つけた邦人にとって、それは何としても避けたいことであった。
しかし動きの鈍る水中では、どうしても決定的なダメージを与えられない。
邦人の死は半ば決定されつつあった。

(苦しい!死ぬ!死ぬ!死ぬ!!)

想像を絶する苦痛の中、邦人は必死にもがき続けた。
だが自らの腕をくわえたヴァイト・タートが、それを許してくれるはずもない。
ゆっくりと迫り来る死の気配を実感した邦人が見たもの。
それは走馬灯と呼ばれる今までの自分の人生であった。

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