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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 39

水の中には川魚が泳いで……と邦人はいぶかしんだ。
川魚が居ないのだ。
別に邦人が近づいて逃げたというわけではなく、居ないのだ。よく見ると周りの動物一匹すら居ない。
周りを良く見ると川岸には妙な削り跡が有る。
何かが勢いよく滑って行ったような……
何かがおかしいと脳内で警告が走る。
ここ一年で鍛え上げられた邦人の危機察知能力が。
「嫌な予感がする。気のせいだと良いんだが」
邦人は弁当に蓋をするとメアリーの元へ走っていった。
その頃メアリーは。敵の接近に気づきもせずに水浴びを楽しんでいた。
最初はあんなに冷たかった水にも、今はすっかり身体も慣れ。
今や鼻歌を歌えるほどの余裕ぶりだ。
やがて全身の汚れと汗を流し、すっきりしたメアリーは河から上がるべく歩き始めた。
その背後に敵が迫っていることなど気づきもせずに。
ヴァイト・タートはめったに食えぬごちそうに興奮を押し殺しながら、水中からものすごい勢いで泳いでいく。
その速度はまさに魚雷。食らったら即死すらありえる勢いだ。

「―――ッ!?」

その時、メアリーが水中から迫り来る存在に気づいた。
しかしそのときにはすべてが遅かった。
水面が大きく盛り上がったと思われた瞬間、ヴァイト・タートは大口を開けてメアリーを食らおうと飛び出してきたのだ!

(しまっ―――!?)

殺られる。メアリーが死を確信したその時。

「メアリーッ!!」
「邦・・・きゃあっ!?」

突如近くの茂みから邦人が飛び出し、メアリーに体当たりを食らわせた。
いろんな意味で不意をつかれたメアリーはどちらもよけることができず、一瞬早かった邦人に抱きしめられながら押し倒される。
間髪入れずヴァイト・タートの巨体が2人のすぐそばを素通りする。
もし邦人の機転がなければ、メアリーはヤツの口の中に収められて絶命していただろう。
しかし肝心のメアリーは、自分の命が助かったことなどどうでもよかった。
そんなことより、自分が愛する男が危険を冒してまで自分を助けに来てくれたことに胸がいっぱいだったのだ。
しかもそのりりしい顔と言ったら。
恋は盲目とよく言うが、メアリーは完全に邦人に魅入ってしまっていた。

「メアリー、大丈夫か!?」
「はえ!?あ、う・・・うんッ。大丈夫だよっ」

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