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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 36

「なぁ、メアリー。俺さ……」
口に出すのを戸惑いそうになるが意を決して邦人は口を開く。
「あれから考えたんだけどさ……やっぱり、ここには居られないよ。別にメアリーが嫌いってわけじゃないよ。俺の力が暴走して、もし、メアリーに危害を加えるような事になったら……多分、今度こそ立ち直れないと思うんだ。だからさ、旅に出て、自分の力が何なのか分かって、制御できるようになったら……その時はまた、一緒に生活しよう」
それは邦人が決めた道。ここに帰ってくるという約束。顔を伏せているメアリーの表情は分からない。
「だったら、私も着いて行く!!」
気を取り直してとばかりに顔を上げたメアリーはとんでもない発言をした。
「はぁ?つ、着いて行くって……おまえ、分かっているのか!!護れる保障なんてないし、おまえ自身言っていたようにモンスターも出て危険なんだぞ!!」
「それを言うなら邦人だって何処を目的地にすればいいか分からないでしょ。それに道先案内人ぐらい必要じゃない?」
互いに睨みあう。一歩も譲らないとばかりに。
「そりゃ、そう言われたらなぁ……。けど、お前が着いて行った所でこの家はどうするんだよ」
「もちろん、他の人に使ってもらうわよ」
さもあっさりとこの家を手放すとメアリーは言ってのけた。唖然とする邦人を他所に早速、メアリーは思い立ったが即実行とばかりに荷物を纏めていく。
調理道具、化粧品、衣服と必要最低限の物資を。
「わかったよ。たくっ、言った所でそれじゃ聞いてくれそうもないし……出来るだけは俺が護るよ。だから道案内はよろしく頼むぜ、メアリー」
「任せてよ。こっちこそ、頼んだわよ」
先に折れた邦人は自然と離れずに済んだメアリーに手を差し出す。新しい門出として、相棒としてメアリーは邦人に握手をした。




遠く離れていくトリア村を目に焼き付けるように邦人とメアリーは振り返る。暫くして、二人は半ば整備された街道を歩く。
「まずは何処に行くんだ?」
「そうね……トロツ村に行きましょ。一応、知り合いがそこに住んでいるから」
「了解。何か手がかりになりそうな物があればいいんだけどな」
二人で目的を決めて歩き出す。大荷物と言っても過言ではない背負い袋をメアリーは軽々と苦もなく背負う。農作業で鍛え上げた無駄の無い筋力は遺憾なく発揮する。
対する邦人はこの世界に来た時と同様のリュック。バッテリーが切れて既に使えない携帯や通貨が違う全財産。一年前の消毒液なんて使えるかどうかすらも怪しいものだ。

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