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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 27


「ねえ・・・邦人。やっぱり村を出るの、やめなよ。
 村のみんななら私が説得するからさ」
「気持ちはうれしいけど、その必要はねえ。
 これ以上村のみんなやメアリーに迷惑かけらんねえよ」
「わ、私のことなんか気にしなくていいよ!
 村の連中のことだって何とかするからさ!」

できるだけ明るく振る舞い、何とか邦人を引きとめようとするメアリー。
しかし彼女は気づかない。自らの行為が自分のわがままにすぎないことを。
そして邦人の心の傷がどれほど深いものであったのかと言うことを。

「・・・いいって」
「よくないよ!邦人はこのままでいいの!?
 邦人は私を守るために戦ってくれたのに、村のみんなはそんな邦人を化け物扱いしてるんだよ!?
 邦人はこのままでいいの!?」
「・・・ッ!」

邦人の心に土足で上がるようなセリフに邦人は一気に頭に血が上った。
それは今まで化け物扱いされてきたストレスもあったのかもしれない。

「うるせえよ!オレだってこんな形でみんなと別れたくなんかねえよッ!
 でもどうしようもねえだろう!?」
「どうしようもなくなんかないよ!話せばみんなきっとわかって・・・!」
「くれるって言うのか?
 オレをあのオーガと同じような目つきで見る連中が?
 ふざけんな!わかりあえるわけねえだろ!?」
「やってみなくちゃわからないじゃない!」
「わかるさ!実際オレがやってみたんだからな!」
「!?」

その言葉にメアリーが驚き、言葉に詰まる。
止めるものを失った邦人は、ここぞとばかりにメアリーに怒鳴り散らした。
邦人はあれから、怯える村人たちと打ち解けようとも居つく限りの努力を行った。
積極的に村人たちに接し、手伝いや気遣いを見せたりした。
しかし村人たちは誰も邦人を受け入れようとはしなかった。
ひどいときだと、彼を化け物と呼ばわりした挙句、石を投げつけたり逃げ出したりするものまでいた。
だが邦人はそれでも村人たちに憎悪したりはしなかった。
いや、正確にはそれどころではなかったと言うべきか。
誰にも相談することのできない状況の中、邦人はこう思ったのだ。

(もしかしたら自分も、あの化け物のようになりつつあるのかもしれない)

―――と。脳裏に蘇る、あの光景。
激しい頭痛。熱く高ぶる身体。足元に転がる煮えたぎる化け物の下半身。
人間ではない、何かに視線で自分を見つめる仲間たち。
邦人はあの時、自分が何をやったのかは覚えていない。
ただ気づいたときには化け物(オーガ)が死んでいたくらいの認識しかない。
だが。もし自分が本当にあれをやったのだとしたら。
そう思った瞬間、邦人は言い知れない恐怖に打ち震えた。

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