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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 26

「だけど!!」
あまりにも理不尽な宣告にメアリーは苛烈な怒りを村長や村の衆にぶつけようとして……
「いいよ、メアリー。そうだよな……確かに俺はよそ者だし、面倒を見てくれたメアリーには感謝しているけど、水が合わなかったんだろうな。おかげでいい経験させてもらったよ。それでも僅か一年だったけど、メアリーの事は家族みたいに思えたし」
邦人に制された。そのまま、邦人は自嘲気味に口に漏らした。
「まっ、元から自分の国に帰る方法探すつもりだったしな。味方になってくれる人がいるだけでもありがたいと思わないとな」
そう言って苦笑を漏らす邦人。それでも、メアリーは……自分の生活の一部となっていた邦人との突然訪れた別れの宣告に心が悲鳴を上げた。
「本当に済まぬな。期限の一週間までに準備を終えておくれ。よいな」
最後に念を押すように言って村長はメアリーの家から出て行く。残された邦人とメアリーは、ただただ考えにふけこむようにそれぞれの部屋に戻った。




それからというもの、ダラスが家に来て護衛用のロングソードを選別として置いていったり、メアリーが旅の道具としていろいろと用意してくれたり、リュックの中にそれらの荷物を整理したりと忙しなく日々が過ぎた。あっという間に翌日が期限の7日と迫った日、メアリーの家で最後に過ごす夜となって、邦人は荷物の中を点検していた。
「邦人、ちょっと入っていい?」
「ああ、別に構わないぜ」
部屋のドアにノックの音が響き、声の主がメアリーと分かると邦人は部屋の中に招きいれた。
メアリーをベッドに腰掛けさせ、暫く無言の時が過ぎる。
「いよいよ、明日だね」
最初に切り出したのはメアリーだった。ただ、その声には寂しげにかすかに声を漏らす。

「・・・ああ、そうだな。メアリーや村のみんなにはいろいろ迷惑をかけちまったな」

少し間をおいて邦人が返事をする。
心なし声に元気がないように感じるのは、メアリーの気のせいではないだろう。
ようやく村になじみ、手に入れつつあった居場所を失い、仲間だと思っていた連中からは化け物扱い。
おまけにその化け物が半人前とわかっていて、彼らは村から追い出そうとしているのだ。
邦人が何も感じないはずがない。

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