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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 25

日が経つに連れて、邦人への視線は恐れと怯えがあからさまに差し向けられるようになった。確かに村へ迫ってきていたオーガを仕留めて、救ってくれたのは邦人だ。
だが、あまりに異常とも言える光景を作り出したのも邦人。だから、その力がいつ自分達に差し向けられ殺されるかと怯える。
未知の力に対して人は恐怖を抱き、それを排除しようとする。
村の人たちはなにかと理由をつけて邦人から逃げ、除け者にし、ついにはオーガやモンスターが辺境に現れたのは邦人のせいではないかと疑う者が出てきた。
無論、ダラスやメアリーなど、一部の人は反論したが極々僅かな人しか居なかった。村の緊張感がいつ切れてもおかしくないほどに、ぎりぎりの綱渡りように高まっていた。


ある日の夜。今日も家事をするだけで終わってメアリーと邦人が一息ついていた時だった。
玄関のドアがノックされ、ドアを開けてみると何度か見かけた村長が立っていた。
「こんな夜遅くにすまんのう、メアリー」
「村長さん。どうしたのですか?」
「実は邦人に話があってのう。少しの間良いか?」
と、村長は視線を邦人に向ける。
「ええ、別にいいですけど。朝の仕込みも終わってのんびりしていましたんで」
家の中に村長を招いて、三人そろって椅子に座る。
「のう、邦人。お主がここに来てそろそろ一年か。初めはひよっこかと思えば、たくましくなったのう」
「そうですか。自分ではまだまだだと思ってますよ」
懐かしむように邦人を見る村長は孫を見る老人のような眼をしていた。
「村に迫りつつあったオーガを倒してくれた事は感謝しておる。じゃがな……」
躊躇するように言葉を切らす村長にいぶかしげにするメアリーと邦人。
「恩人に仇を成すような事を済まぬと思っておる。じゃが、これ以上村の連中に不穏を落す訳にもいかぬ。儂は村長として、決断せねばならぬのだ」
言葉を一旦切って村長は深呼吸をする。これから言う言葉を村の人達の総意して。
「すまんが、この村を出て行ってくれぬか。無論、今すぐには言わぬが一週間後までに出て行ってくれ。邦人」
宣告した事を悔やむ村長。告げられた邦人は頭をガンッと殴られたような衝撃を受けた。
「なっ、なんでですか!!そんなの勝手じゃないですか!!邦人は行くところも当ても無いんですよ!!」
「分かっておる!!じゃが、村の連中にこれ以上不穏を撒く訳にも行かぬだろう。儂もどうにかしようとしたんじゃが、妥協しても一週間じゃったのじゃ!!」

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