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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 21

後ろを振り返らずに、メアリーの手を引っ張ってただただ走る。そう簡単にオーガから逃れられるとは邦人も思ってはいない。
歩幅からして違うのだ。愚鈍とはいえ、こっちが必死に走って距離を稼いでもを相手は一歩で3分の1も帳消しにされるほど。
邦人が傷を負わせて、速度を落していなければ追いつかれていただろう。今はその恩恵があるからこそ、引き離せる事も可能だ。
(もう少しすれば、相手を振り切れるはずだ……)
息を切らせながら、思考に没頭した矢先。
「きゃっ!!」
メアリーの悲鳴が聞こえて振り返ると出っ張った石に躓いて転んでいた。
「メアリー、大丈夫か」
「ええ、ちょっと転んだだけ……痛っ!!」
立ち上がろうとして、蹲るメアリー。不運と言うものは重なる時には重なってしまう。足を挫いてしまったらしい。迫るオーガ。足を挫いて動けないメアリー。
(おぶって走る?ダメだ、俺がそこまで持たない上にすぐに追いつかれる。誰かに助けを求める?これもダメだ。そもそも近くに護衛の人が居ないし、時間が掛かりすぎる)
浮かんだ二つの選択はどちらも実行するには邦人に取ってはきつすぎた。となると、残るは一つ。オーガに立ち向かう事。そう思うと剣を持つ手が恐怖で震える邦人。
(やれるのか……俺に)
メアリーの方に視線を向けると不安げにこちらを見ているメアリー。そのメアリーを護りきる為に邦人は決めた。追いついたオーガを殺気を込めて睨む。
「やってやらぁ!!メアリーに指一本でも触れさせはしない!!」
オーガがわずらわしげに棍棒を奮ってくる。バックジャンプをして回避しようとするが、予想より振りが早くとっさに剣を盾代わりにする。
「がぁ!!」
吹き飛ばされ、剣を砕かれて地面を転がり、視界が白く点滅する。ビッグボアの時と同じように全身が痛む。それでも……それでもまだグラよりかはマシだ。
あれは不意を突かれた事もあって、一瞬で命を刈り取られたから。オーガがメアリーに手を伸ばす。捕まえ、不釣合いなほどに太い肉棒で犯し、孕まし、壊す為に。
「こんな痛みになんか」
歯を食い縛り、立ち上がる。
「これ以上……これ以上メアリーが泣いている所なんて……俺は見たくないんだ!!」
全身の力を込めて足を地面に捕らえさせて走る。メアリーを掴もうと腕を伸ばすオーガ。絶望に晒されて、眼を瞑るメアリー。
その頃、狩猟組みはようやくオーガ出現の情報を齎され、狩りを中止して救出に向かっていた。ようやく、オーガの姿を捉えた所に……
「武器が無くたってぇぇぇ!!!」
オーガの丸太のような腕を踏み台にして下から突き上げるような拳の一撃を邦人が繰り出す。
だがオーガの顎を跳ね上げる事も無く、なんのダメージも無いままオーガの足元に勢いよく両手、両足を使って全身のバネで衝撃を吸収して邦人は着地する。

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