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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 15

「よう、坊主」
メアリーとすれ違ったまま、ようやく慣れてきた農作業から帰路に付いている時だった。夕焼けで赤く染まった道で野太い男の声が邦人を呼び止める。
「えっと……」
狩りの時に同行したぐらいにしか覚えていなかった邦人は誰だったか思い出そうとする。
「覚えてねぇか?ビッグボアを仕留めた後に嬢ちゃんとこまで送った、ダラスってんだ。嬢ちゃんは元気か?」
ニカッと笑うダラスと名乗った男は邦人の肩をバシバシ叩く。
「おわっ、ちょ、痛いですって!!」
「おいおい、それぐらいでぐらつくなよ。もうちょい、足腰鍛えんとこの先きついぞ」
よろけた邦人にダラスは豪快に苦笑する。
「えーと、メアリーですけど……実はここ最近互いに顔を合わせてなくて。なんていうか、すれ違いって奴なんですよ」
「すれ違い?」
「ええ、狩りから帰ってから俺……こっちの都合でビッグボアを殺してしまってから……」
その後に起きた出来事を邦人はぽつりぽつりと語る。ダラスは口を挟む事無く、ただ黙々と聞く。
「……という訳で、俺も此処最近のメアリーの様子は知らない状態なんですよ」
「なるほどな……なあ、邦人。俺達はな、生きるためには何かを殺さなきゃ生きていけないんだ。動物にしろ、植物にしろ、何かを犠牲にして糧にして生きなくちゃならない。お前が食った肉だって元は生きていたんだ。暮らしていく為には金もいるし、生活は楽にはならん。その為には割り切らなきゃならん。動物もそうだ。死ねば何かの糧になって、生かす。俺達も犠牲があるから生かされている。殺す事に慣れろとは言わんが、せめて割り切らんと潰れるぞ」
「割り切る……それが出来たら苦労はしませんよ」
ふぅっと溜息を漏らす邦人。
「だろうな。まあ、焦らずじっくりと考えるこった。ああ、それと一週間後に村の中央広場で狩りの打ち合わせがある。踏ん切り付いたら、来い」
何かを悟ったような眼でダラスは悠々と去っていく。その言葉が邦人の心に何時までも残った。

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