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FANTASYC PSY
官能リレー小説 - ファンタジー系

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FANTASYC PSY 11

その切っ先がビッグボアを捕らえる事なく、空しく地面を叩き付ける。斬るタイミングが遅すぎたようでビッグボアは既に通り過ぎていた後だった。

通り過ぎたビッグボアは再度反転して木の傍から離れた邦人に向けて突撃してくる。圧倒的な威圧感を持って迫るビッグボアに邦人は竦んでしまい、動けなくなる。

「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

だが、目の前に迫って来る巨体に吼える事で縛られていた恐怖を振り切ったが、既に遅かった。
せめて、ダメージを軽減しようと後ろに跳ぶ邦人。だが……ビッグボアの巨体が弾丸のように突き刺さった時、想像以上の衝撃が邦人を襲う。

「あぐぅぁぁぁぁぁぁ!!!!」

弾き飛ばされながらも、邦人が持っていたロングソードは持ち主の手から離れずにビッグボアの眼をスッと入るように切り裂く。

(痛い、痛い痛い痛い痛い痛い!!)
悲鳴を上げる筋肉、バラバラになったかのように感じる骨、息が詰まり、胃の中身をぶちまけてしまいそうになる程、むせては目の前が白くチカチカする。

そうしている間にもビッグボアはよりにもよってグラの手で仕留められていた。

いけ好かないグラは何かを言っていたようだが……村の壮年の男の手で助け起こされた時は、邦人の意識は朦朧としていた。

あれほどまでに手強かったビッグボアがグラは自分の実力で仕留めれていたと勘違いしているようだが、実際は……これまで蓄積していたダメージ、邦人が偶然とは言え、片目を傷つけて視界を奪っていたという要因があったからこそ出来た事だった。

そうでなければ、これほどまでの凶暴な獣が仕留めれる訳が無い。止めを刺したのはグラであるが、真の功労者が邦人であると言う事を理解している人は少なからずいた。
しかし邦人はそれどころではない。
初めて味わった命のやり取りで頭と心の整理がまるでついていなかった。
死にたくなくて死に物狂いで邦人に襲いかかったビッグボア。
そして生きるためにロングソードを突き立てたあの感触。
命あるものの肉を裂き、吹き出た血が顔にかかるあの温かさ。
わかっていたつもりではあったが、想像と現実はまるで別物だった。
できることなら一生味わいたくない感覚だ。
邦人は何の苦労もなく肉や魚を食えた元の世界のことを思い出す。

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