モンスターハーレム 第2章 270
「お〜い!ソウルイーター!ご注文の品を持ってきたぞ〜!
聞こえたなら出てきてくれ〜!」
「・・・遅いわよ」
声を張り上げながら歩いていたオレに、聞き覚えのある声が聞こえた。
その声はポツリと小声であったのに、ものすごい粘着質そうなモノがこもっていたせいか、しっかりとオレの耳に届いていた。
「悪かったって!オレも行く先でいろいろあったんだよ!
ほら、服を渡すから姿を見せてくれ!」
「・・・わかったわ」
ソウルイーターはまだ文句を言い足りなそうだったが、やはり肌をさらし続けるほうがイヤだったのだろう。
彼女はそう言うと、天井から首だけをひょっこりと出してくれた。
何も知らないヤツがこれ見たら、間違いなく悲鳴を上げそうだな。
なんてバカなことを考えていたのだが。
いつまで経ってもソウルイーターがこっちに下りてこない。
「・・・?何やってんだ?さっさとこっちに来いよ」
「き、気にしないでください。それより服を・・・」
「そんなところにいたら、渡しづらくてしょうがねえだろーが。
だいたいそんなところにいちゃ、着替えだって不便だろ?」
エネルギー生命体の着替えなんて見たことないが、何となくやりづらそうな気がする。
しかしソウルイーターは天井でもぞもぞするばかりで、一向にこちらに下りてくる気配はない。
よく考えれば、今の彼女は半裸なのだからそれを恥ずかしがっていたのかもしれない。
しかし女の扱いというものをよく知らないオレの心には、ふつふつと苛立ちの感情が芽生えるだけだった。
「ほれっ。いいかげんあきらめて、こっちに下りて来いっ」
「だ、だから何度も言ってるでしょう!?
そんなことは気にしなくていいから、早く服を渡しなさいっ!」
「・・・・・・」
数えるのもバカらしくなった不毛なやり取りに、ついにオレの我慢も限界だった。
「・・・そーか、そーですか。そちらの言い分はよ〜くわかりました。
んじゃ、こっちはこっちで好きにやらせてもらいます、よっ!」
「!?」
言い終わるが早いか、天井に舞い上がったオレは、ソウルイーターをとっ捕まえた!