モンスターハーレム 第2章 2
何しろ今のオレのまわりにはメスの本能に目覚め、オレに追従してくれる魔物であふれている。
今までみたいに少数で勝手に行動するなんてことはできない。
反対派からしてみれば、彼女らは裏切り者以外の何者でもないだろう。
おまけに彼女らは、オレのせいでまともに動くことはできないと来ている。
今の彼女たちに自分で自分を守らせるなんて事は、まず無理だろう。
まともに動ける連中でさえこの有様なのだから。
「それにしてもおまえら、ちょっとは発情を抑えられねえのかよ?
事あるごとにいちいち発情しやがって・・・」
「無理ですよぉ。
今まで色恋とは縁のなかった生活してたんですからぁ・・・」
「ウサギの言うとおりだ。急にメスの本能に目覚めさせられてみろ。
止められるわけがないではないか」
オレの嘆息に、ミミとサルスベリが口々に反論した。
まったく頼りになるんだかならないんだか。
オレは再びため息をつかずにはいられなかったのであった。
――――
その頃。オレたちのいる場所からそう遠くないところに、1人の人物が歩いていた。
彼女の名はキュリエル。反対派の筆頭の1人にして『妖艶』の異名を持つ将軍であった。
彼女は実に楽しそうに微笑みながら、鼻歌混じりにある場所に向かっていた。
目的地は当然、オレのいるサルスベリの研究室。
仲間も誰もつけずに歩くその無防備な姿は、とても反対派のトップとは思えない。
歩くたびに大きすぎる乳房が『たゆん』と揺れ、不必要なまでに色気を振りまいていた。
「フンフンフ〜ン♪・・・っと?」
楽しそうに歩いている彼女の歩みが、突然止まった。
しかしまわりには誰もいない・・・?
「テスちゃん?そこにいるんでしょ?
わざとらしいマネしてないで、姿を見せてくれないかしら?」
するとその言葉に呼応するかのように床の一部が盛り上がり、そこから人型の『何か』が遊離していく。
やがてそこには全裸の1人の少女が現れた。
元反対派筆頭の1人、『鉄壁』のテス将軍であった。
「よく、わかったな」
「わかるも何も気配がまるわかりじゃないの。
テスちゃんでも冗談が言えるものなのね。
お姉さん、驚いちゃったわ♪」
クスクスと微笑みながら答えるキュリエル。
その様子は将軍というよりどこぞの貴婦人のようだ。
テスはそんな彼女を無視し、かつての同僚に対して強烈な殺気を放ちながら、単刀直入に切り出した。
「答えろ。お兄ちゃんと遊ぶつもりか?それとも殺すつもりか?」
「『お兄ちゃん』・・・?」
「答えろ」