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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 79

「……済まない、セリーヌ…もう少し優しくできればよかったんだが…」
様々な分泌液が染み込んだマントを纏い、腰の立たなくなったセリーヌを抱きかかえて歩きながら、ジルドは後悔を吐露する。しかし、ジルドの首に腕を絡ませたセリーヌは、いいや、と首を振る。
「…我としては、強く激しく愛してくれた方が嬉しい。それに正直に言うと、一度ではジルドを感じ足りないぐらいだ」
そう言って、微かに上気した顔でキスをせがむ。ジルドはやれやれと肩をすくめながらも、その願いに答えてやる。
セリーヌはジルドの頭に手を回して、積極的に舌を伸ばそうとするが、ジルドは巧みにそれを制す。
「…それをすると理性がどうにかなっちまう。普段は軽く触れ合うだけ、だ」
「ふふ…そうか。なら、軽く触れ合うだけ、な」

触れ合うだけの、甘くゆっくりとした口付け。

互いの唇が離れ、セリーヌは満足そうに微笑む。
「もう…ジルドがいなくては生きていけそうにないかもしれんな」
冗談とも本気ともつかない言葉と口調に、ジルドは思わず苦笑してしまう。
「…冗談に聞こえ」「本気だ」
軽く流そうとしたが、セリーヌは強い口調で遮った。断言されてしまったジルドは言葉に詰まり、視線を泳がせてしまう。

「……そうか」

やっと出てきたのは、相づちとも取れるような投げやりな言葉。
しかしセリーヌにとっては充分な言葉らしい。首に巻き付かせた腕を曲げて顔をぴたりと寄り添わせ、甘えるように頬ずりする。

「…そうだ」




ジルドはセリーヌを抱きかかえたまま、自分達の馬車にたどり着いた。
「…静かに、頼むぞ」
セリーヌに言い聞かせ、息を殺しながら馬車の戸に手をかける。


「…こほん」


既視感を感じる、わざとらしい咳払い。
ジルドの顔から、さっと血の気が引いていく。

「お二人とも…夜中に出歩いて、“ナニ”をおやりになっていたのですか…?」

指すような視線を感じ、ジルドは壊れた機械のように体を震わせながら、首を回す。

「…それも、服やマントをそこまで濡らしては…風邪をお引きになりますよ」

視線の先には、馬車に寄りかかって腕を組み、氷の如き微笑を浮かべた、アグネスがいた。
「…起きて、いたのか」
体中をガチガチに強ばらせながら、口調だけは不自然なまでに普段のそれを保つジルド。対してセリーヌは微笑んだまま、セリーヌを抱きかかえたままのジルドに歩み寄る。
「起きざるを得ませんでした。何せ、付近で“つがいの獣が五月蝿い程に吼えあって”いましたから」
どうみてもジルドとセリーヌの情事を知っているかのような口調。わざとらしい比喩で、明らかにそれをなじってくる。

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