PiPi's World 投稿小説

幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 90
 92
の最後へ

幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 92

「へへ。これで見つけたらお前、鳥居の前の狛犬にしてやるよ」
「だから俺は犬じゃねぇ!」
捜査方針を“床の上に続く匂いを嗅ぎわける”のではなく、“床下から湧き上がる匂いを探す”に切り替えただけで候補が大幅に減り、しーちゃんは小走りで匂いの素を追った。
たどり着いたのはフロア正面のエレベーターだった。
「ここの下から匂ってくるぞ」
「けど、地下は二階までしか…。」
紅夜叉は刀を抜くと操作パネルの下にあるカバーの鍵穴に突き立て強引に回すと『めきゅっ』と音を立てて鍵が壊れカバーが開き、別系統の操作盤が現れた。
紅夜叉はパネルを憶測で動かすと突然エレベーターが扉を開いたまま動き出した。
最初は上に動きかける。
慌てて操作し直すと停止し、ようやく降ろし方を見つけた。
フロアの床が紅夜叉の胸の高さまでせりあがると途中で停止させる。
「おい」
「?」
「お前も来るんだ!」
「見つけたからいいだろ?」
「つべこべ言わずに来い!」
紅夜叉は降りて行くのを見送ろうとしていた太郎の前足をムンズとつかむと強引にエレベーターの中に引き摺り込んだ
 
 ウィーーーン……
「そういや、203号室はどうなった?」
 紅夜叉が降りていくエレベーターの中で、警備室の監視モニターに映っていた擬螺と娼婦について、太郎に尋ねる。
「あぁ、女の人は助けだした。
 一緒にいた男が逃げようとした時に、隠してた銃ぶっ放したから俺達の侵入バレたけどね」
「そっか。それで上の方が騒がしかったのか」
「そんな人事みたいに……」

 と、その時………

 ドグワッシャァーーーーンッ!!!
「おわっ!」
「な、何だっ!?」
 突然エレベーターが大きく揺れ、エレベータが停止してしまう。
『どこに行くか小僧! いや、小娘!』
 バリバリッ! と音を立て、エレベーターの天井が引き剥がされる。
「げっ! 起きたのか?!」
 天井に開いた穴から顔を覗かせたのは、大きな猿の顔――炬俐であった。
「貴様等、よくも我の城を引っ掻き回してくれおったなっ!」
「城? あぁ、この成金趣味のホテルのことか」
「うがぁぁぁっ!!」
 天井板を更に引き剥がし、穴を広げていく炬俐。
「ちっ、入ってくる気かよ。定員オーバーだぜ」
 迎え撃つ為、腰の奈落と天雅を引き抜く紅夜叉であったが……
「おーい、炬俐」
 炬俐の尻尾の蛇が声を上げる。
「なんだ蛇! 今忙し」
「このエレベーター、落ちるぞ」

『………えっ?』

 炬俐と紅夜叉、それに太郎の声が見事にハモる。
 そして……

 バキィッ!

 頭上で嫌な感じの音がした。
 

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す