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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 91

「…よし、だいたいの場所がわかった。すぐにそっちに行くからおとなしくしとけ!!」
「んー、早く来てねー」
そう言うとお互いに携帯電話を切った。

「さて、あの子が来るまでやることはやろうかな」
そう言うと同時に死んでいる少女達から黒い霧が浮き上がってきた。
「…わかった」
そう言い黒い霧をほとんど全て飲み込んだ。
「復讐六割ってとこか。本気だせばこの建物ごと、っていうかこの町ごと…ってのもできそうだけど赤千穂が恐いからなぁ…」
ま、とりあえず出てからかなっと言うと腰を下ろした。

「ほら!さっさと探せ!」
“しーちゃん”こと妖狼の背中に褌一丁で跨って鞘付きの刀で頭を小突く。
しーちゃんは娼婦達とホテルを走り回ってると偶然出くわした紅夜叉に接収された。
『地下に繋がる《人間の》屍の匂いを追え』
最初は『ふざけるな小娘』と断ろうとしたが、赤千穂の妹であることから泣く泣く従っていた。
(俺って女難の相でもあるのか?)
床の匂いには人間の匂いが沢山染み込んでいる。
その中から死臭のみを嗅ぎ出すのはいくら鼻のよい妖狼でも容易ではない。
「何か特定の匂いは無いのか?」
「狂骨は転移で臭いを残してないし、せめて白面の匂いでもあればな。兎に角死人の匂いだよ!」
「死臭はそこら中に引きずられてる。外から中に。中から外にも。だ」
「ちくしょう。役に立たない犬だな。」
「俺は狼だ」
「ストープ!」
「痛ぇ〜!」
紅夜叉が鼻で床を擦るように匂いを嗅いでいたしーちゃんの首元の毛を馬の手綱を引くと、しーちゃんは悲鳴を上げるが、それを無視して壁に打ち付けられたホテルの案内掲示板に駆け寄る。
「ここだ!大体この位置にいるはずなんだ」
フロア案内と板各階案の二か所に指をさす。
各階案内は最下階を過ぎて黒く塗られた箇所を指している。
「分かってるならさっさと行けばいいだろ!」
「場所はわかっても行き方が分からねぇんだ!
垂直の梯子かもしれないし、らせん階段かもしれないし、筒ら降りの階段かもしれないし!だからお前の鼻をあてにしてるんだろ!」
憤るしーちゃんに紅夜叉は食ってかかる。
「だったら、“地下に続く死臭”じゃなくて“地下から立ち上る死臭”を探せばいいんじゃないか?」
「あ。お前、犬のくせに頭いいな。」
しーちゃんはお前の頭がとろいだけだとここのの中でつぶやき溜め息をついた。
気を取り直して床の匂いを嗅ぎ直すと再び紅夜叉がまたがった。

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