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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 45

 
―――ミニバン内―――
 
「勘弁してくれよ……」
 車を運転しながら、阿蘇鬼神が嘆く。
「『火奉は常に隠密行動。目立たないようにするのが掟』って言ったのは赤千穂様でしょうが。
 それをあんなに目立って……」
 ブツブツ言いながら、チラチラとバックミラーに映る狂骨としっぺい太郎を見る。
「それで、大きいのは電話で言ってた『しっぺい太郎』として、そっちの黒いのは誰?」
「あっ、ども狂骨です。今日からお世話になります」
「なっ!」
 キキッ−ーーッ!!!
 慌てて急ブレーキを掛け、車を止める。

「痛ーーーいっ……頭打った。阿蘇さんもうちょっと安全運転」
「そんなことよりっ! 何で五凶がココにいるっ!」
 懐から愛用の拳銃―――日本のお巡りさん御用達のニューナンブを抜き、狂骨の眉間に狙いを定める。
「それはねー………」
 赤千穂がこれまでの経緯を説明した。
 
「というわけで阿蘇さん、保護観察お願いね」
「いや、お願いって……」
 困惑する阿蘇を余所に、赤千穂は蛮悟の携帯に、電話を掛け始めた。
「………もしもし、蛮悟さん? 今そっち向かってますから、もうちょっと待っててね」
『いや、それがその……』
 何故か歯切れの悪い返事をする蛮悟。
「どうしました?………えっ……目撃情報元に………色街にいる」
 
 バッ!
 
 銃口と視線を狂骨に向けたまま、阿蘇が携帯を引っ手繰る。
「おいっ、蛮悟」
『げっ、阿蘇の旦那』
「てめぇ、紅夜叉を変な店に連れ込んだりすんなよ」
『しないしない………それに』
「それに?」
『………さっき、紅夜叉とはぐれちまった』
「なにーーーーーっ!!!」
 
―――色街・裏道り―――
 
 風俗店の煌びやかなネオンや、客や呼び込み達で明るく賑わう表道り。
 この裏通りは対照的に街灯も少なく、ひっそりとしているが、表で堂々と商売ができない者達で賑わっていた。
 
 いわゆる売春婦達である―――
 
 道の両端で様々な衣装に身を包んだ女性達――中にはアニメキャラなどのコスプレをしている女までいたりする――が、道行く男達に悩ましい視線を投げかけている。
 男達は気に入った女性がいれば声をかけ、交渉が成立すれば近くのホテルへと腕を組んで歩いていく。
 ちょっと特殊なプレイを望む客がいれば、近くの看板も何も出ていない店に連れ込み、手ごろに安く済ませたい場合は、近くの公園や路地裏などで事を済ませる者達までいた。
 
「それで、あれから‘姐さん’から連絡は?」
「そう……」
 その裏通りの道端で、‘商売’もせず真剣な顔で話をしている娼婦達がいた。
 娼婦達は一様にため息をつく。
「まったく無茶だよ、一人で新生茨木のところに乗込むなんて………」

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