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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 34

――話は神社に戻る――

「あの〜、赤千穂さま? ほーこくに来たんですが〜」
白面が恐る恐る『の』の字を書く赤千穂に話しかける。
「あら、白面ちゃん!
ごめんなさいね。ちょっと考えごとをね♪」
白面の声に赤千穂はビクリと肩を震わし慌てて向き直る。
「はい。ほーこくしまっす!
実はカクカクシカジカ。だそうです!」
右手をズビシッ!と勢いよく挙手させ、蒼い桜からの話を報告する白面。
「あらあら、阿蘇さんに調査お願いしちゃったの?
もー、紅ちゃんも桜ちゃんも阿蘇さんは鬼族の名士だって言ってるでしょ?」

頬を軽く膨らませ、近くにいた紅夜叉を咎めるような目で見る。
「あの人が女の子に優しいからって甘えちゃダメ!
ちゃんと敬いなさい!」
「でも千穂姉、この前阿蘇のこと‘ロリコン阿蘇山’とか言ってなかったっけ?」
 赤千穂は紅夜叉に向けた視線を窓の外に向け、遠くを見る。
「そうだ、そろそろ東前寺さんに行く時間だわ」
(とぼけたな………)
 赤千穂はそそくさと赤い巾着に財布や携帯を入れていく。
「それじゃ紅ちゃん、お留守番よろしくね」
 そうして社務所を逃げるように、赤千穂は出て行ってしまった。
「ねぇ、紅ぃ」
「んっ?」
「赤千穂様、巫女装束のまま電車乗る気かな?」
「………知らんっ」
 
 しばらくして、白面も「仕事がある」と言って神社を後にした。
 白面は南区の路上で、似顔絵書きの仕事をしていた。
 同じように路上でアクセサリを売ったり、ストリートライブをしているアマチュアの若者達と仲良くなり、そこから色々な情報を集めている。
  
―――そして夕刻―――
 
「暇だな……」
 一人残された紅夜叉が社務所でボーっとしていると、机の上の電話が鳴り出した。
「コホンッ……はい、こちら赤井神社でございます」
『やぁ、紅夜叉ちゃん。元気してた?』
「てめぇっ! 天邪鬼っ!」
 営業用から一転、紅夜叉の声が怒りと殺意の篭ったものになる。
『そんなに怒んないでよ。今日は面白い話をしてあげるからさ』
「やかましいっ! 電話番号知ってるなら場所もわかってるんだろっ! 今すぐココにこいっ!」
『お誘いは嬉しいけど、機嫌悪そうだからまた今度にするよ』
 紅夜叉の怒声をさらっとかわし、天邪鬼が本題に入る。
『ところで僕、今南区にいるんだけどさ、さっきそこで『君、新生茨木軍でバイトしてみないか?』って声かけられちゃった』
「なっ、茨木?」

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