パートナーシェア 2
「もちろんそういうわけじゃない…誰でも初めてだったときはあるし…君、シェアって理解してる?性感染症の診断書は用意したよな」
「ええ…はい、もちろん…用意しました…」
シェアとか、シェア方式の寮とかに入ろう、と思う人は、“性感染症にかかっていないことを証明する書類”を出さなくてはならない。僕のように不動産屋経由で入るなら不動産屋に出す必要書類の一つになっている。
ちょっと昔と違って、今はどの性感染症も直るものとなっているので、入りたければ、もしかかっていたら直して入るのだ。
僕は、童貞だからもちろん問題なく陰性だった。
「で、シェアに入るためには、不動産屋の審査のほかに、異性の住人全員のOKが必要、というのは知っているな…」
「えぇ…」
先輩は一息入れて言った。
「これは、一人一人とセックスする、ということなんだ。分かっているか?」
…それは…聞いたことがなかった。
そりゃあ、漠然と“シェアに入って、僕もセックスできるんだ”みたいに思って(例えば郊外に一人で住んで長時間電車で通勤するとかの)他の選択肢でなく、シェアを探した。
でも、まだ、探し始めたばかりで…そんな… 面接みたいに…なんて!!
「…面接みたいに…セックスするんですか?初めてなのに…自信ないです!!」
先輩は、笑った
「まあ、面接っちゃあ、そんなようなもんだが、別にテクニックをみる訳じゃない。安心しろ!…もちろん、相手に拒否権がある分、君にも拒否権がある…」
「拒否なんて、そんな…」
とはいうものの、確かにどんな女子がいるのかは、気になる。
不動産屋もさすがにそこまでは言っていない。
「でも…あの…」
「どんな女子か知りたい?そうだ、画像はある」
先輩は目の前のタブレットのタッチパネルを操作した。
「これは、こないだ、正社員になって引っ越していった先輩の送別会の画像だ。住人の3人の女子はどの子もここに写ってる」
僕はタブレットを覗き込んだ
この部屋で送別会が行われている画像だった。
おぉぉ…
女子3人は、いずれも平均以上のレベルと言っていい…ただし、理系で過ごした僕の思った“平均”は高くないかもしれないが…
そして、スライドショーを見ていると、まるで…その…ネットでエロ画像を見ているかのようになってきた…
ちなみに、ちょっと前だとこういうのは「18禁」とか「成人向け」とか、動画だったら「AV」とか言われたけど、さっきちょっと言ったように、現在では中学高校でもセックスを積極的に推進しているため、そういう年齢的縛りは無くなっている。たまに昔の習慣でそういう言葉を言う人はいるけど。
「…こういうのって…いつもやってるんですか?…なんか、ネットとかで見るフィクションだけかと思っていましたよ」
「いやぁ…こういう歓迎会とか送別会とか…たまにだよ。そもそも住人全員が揃うことなんてめったにない…もちろん、ネット上のは、フィクション多いけど、リアルでもあるよ」
僕は、その画面の中に、自分を当てはめ始めていた。さっきから、膨張していた僕のモノだが、ますます収まらなくなってきた。そして、生唾をごくりと飲み込んだ。
「どうする?ここに入るか?」
本当は、頭ではいろいろ見て決めるつもりだった。でも、下半身の方が勝った。
そして、入りたいです、面接を受けさせてください、と頼んだ。
さすがに、それですぐに「面接」を受けさせると、それ目当てでシェアをちょっとずつ渡り歩く人とかいると思われるので、まずは不動産屋の審査を通して、一週間の「仮入居」をするのだ、と聞いた。
そこで、女子の誰かか、僕が、NGと決めたら、その日までの日割りの家賃を払って出る。お互いにOKなら、正式に入居の契約をする、ということだった。
僕は不動産屋に戻ってすぐに入居希望であることを告げた。
そして、2日後(バイト先が一応ちゃんとしたところだったため)審査が降りて、僕は再びそのシェアの扉を開けた。
「いらっしゃい、そういちろう君?」
そう、僕は、そういちろう、という。
でてきたのは…確かに画像にいた人の一人。
髪は明るい色で、肩まであって…というより、服装が下着姿、ということがまずは僕の印象に飛び込んできた。