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淫肉の棺桶
官能リレー小説 - 異種姦/獣姦

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淫肉の棺桶 24


ヌプゥ……

また音が聞こえてきた。どうやら間違いなく、この中から聞こえてきているようであった。
香穂の中で葛藤が生まれた。すなわち、中の様子を見に行くかこのまま帰るかである。
前者は安全を最優先に取った場合。後者は好奇心を満たすことを最優先に取った場合である。
幸い、暗くなってしまっては歩き辛いので懐中電灯は持ってきていた。
どうするか……その迷いは、今もなお断続的に聞こえてくる正体不明の音によって後者へと傾いていく。

「少しだけ……少しだけ見てくるだけならいいよね……?」

香穂は誰に言うでもなくそう呟くと、崩れてできた石の隙間から洞窟内へと入り込んでいった。



「うわぁ……」

洞窟の内部は基本的に一本道であった。湿気を多く含んだ空気はヒンヤリと冷たく、肌寒さを感じる。
興味深かったのは、この洞窟は明らかに自然にできたものではなかったということだ。
道は石造りになっていたし、曲がり角は直角であった。さらに進めば階段まである。
予想外に深い内部に、香穂の思考には戻るという選択肢も浮かんだが、その必要もなさそうであった。
音が近づいている。
予想でしかないが、この大きさからいって数十メートル先の角を曲がれば、音の発生源だろう。
あと少し行けば音の正体が分かる。
その思いが、香穂を後戻りできない地獄へと向かわせる……

ブジュル……ジュルジュル……ヌチャァ……

「こ、これは……」

道を曲がった瞬間に、香穂の目の前には信じられない光景が広がった。
まるで道を切り取ったかのようにポッカリと床に開いた大穴。
その中を、無数のヒダを生やした肉の塊が蠢いていた。
粘度の高い液体を纏って蠢くそれは、まるで一つ一つが生物であるかのように縦横無尽に動いている。
ヒダ同士が離れる度に、糸を引いて耳障りな音を立てていた。

「も、もしかして……」

香穂は幼いころ祖母から聞いた話を思い出していた。
この神社の裏手には祠があり、かつて村を化け物から守った英雄を祀ってある。
その英雄はまだ若い女で名を鈴鹿(すずか)といった。彼女は桁外れの霊力を有していたらしい。
そんな中、村にある化け物がやってきた。
化け物は村の人間を一人残らず丸呑みにしていったそうだ。
そして、その化け物を退治しに行ったのが言い伝えの英雄・鈴鹿。
彼女が化け物退治に発ってからというもの、化け物は姿を現さなくなった。
だが、同時に鈴鹿も戻ってこない。
村人が周囲を捜索すると、鈴鹿が愛用していたという剣が、洞窟の前に落ちていた。
もちろん、数人が洞窟の中に入り込んで捜索したが……そのまま、その者たちは帰ってこなかったそうだ。
残された者たちは洞窟を恐れ、石を積み上げて入口を塞いでしまう。
そして、入口に鈴鹿を祀る祠を建てて化け物が再び世に現れないことを祈った……
まさか、この化け物が言い伝えに出てくる化け物なのだろうか?
しかし、この姿は……

「か、「棺桶」……」

そう、今世間を賑わせている恐怖の象徴……「棺桶」に酷似していた。

ブジュリ……

その時、目の前の化け物の雰囲気が一変した。
ただ蠢いていたそれは明確な害意を発している。ただの女子高生でしかない香穂にも……いや、香穂が女だからこそ感じられた危機。
この生物は自分によからぬことをしようとしているという気がした。
背筋をゾクリとした悪寒が駆け抜け、周囲の気温が一気に下がったかのような肌寒さを感じる。
逃げなくては……そう考える前に、体は自然と動いていた。一瞬で身を翻し、脇目も振らずに駆け抜けていく。

ヒュン!!!

ふと、風を切るような音が聞こえた。
数秒後には足首を万力で締め付けられているかのような強烈な感覚が走り、バランスを崩して無様に倒れこんでしまう。

「い、いやぁ!!!!!」

足首を見ると、ブヨブヨとした触手のようなものが絡みついていた。
触手は無数のヒダの中から伸びているようだ。
このまま丸呑みにして食べるつもりなのだろうか。香穂は言いようのない恐怖を抱いていた。

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