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プレイボール!
官能リレー小説 - 学園物

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プレイボール! 2

『左肩肩胛骨骨折及び左肘じん帯断裂』これが僕の利き腕の左手に起きた怪我だった。
元々年の離れた兄と元プロ野球の選手だった父の影響で始めた野球だった。
「リハビリをしたら日常生活レベルには戻りますから頑張ってください。」そう言って担当医は、病室を出ていった。「直ちゃん、ごめんね。」そう言ってくれた由美ちゃんの言葉も耳に入らなかった。
『日常生活?僕にとって野球は生活の一部だったんだよ。もうできない?』気がつくと涙を流していた。
スポーツ家族の血を引き素晴らしい才能でエースになった直樹は只涙を流した。
リハビリを初めてから半年。ようやくリハビリも終わりに近づいたころにお父さんが一冊の本を買ってきた。
『故障を乗り越えた投手』いかにもらしいタイトルだった。
「この本にはお父さんの知り合いもいるんだ。」そう言って中身を見せようとしたがそれを払い落とした。
「こんなの見ても僕には野球なんてできないよ。だいたいなんで僕がこんな目にあわなきゃいけないんだよ。僕は悪く無いのに、悪いのは由美ちゃんだもん。」泣き叫びながら言った。
『パチン。』僕の左頬に電気が走った。
「何て事を言うんだ。」珍しくお父さんが怒っていた。お父さんは優しくて滅多に怒らない人だから。
「この本は由美ちゃんから貰った物だ。由美ちゃんからは口止めされていたけどな。」お父さんは優しい声で言った。
僕は何も言えなかった。
「由美ちゃんはこの本を市内の本屋を探し回って見つけたんだ。由美ちゃんはお前にもう一度野球をしてほしいからこの本を買ったんだ。」それを聞いてとても嬉しかったようで恥ずかしい気持ちになった。
『もう一度野球をしたい。』そう思ってトレーニングを始めた。

―三年後―
「由美、はやくしろよ〜試合に間に合わないよ〜」
「直ちゃん、待ってぇ〜」
今日は地区大会の試合、勝てば県大会の出場が決まる大事な試合。
僕にとっても中学最後の年でこの先の事も考えるととっても重要だ。
「ねぇ今日も一杯打って走って勝とうね」
「勿論だとも今日も由美の為に頑張るよ」
僕と由美は試合の日はいつもこの様な会話をしてる。
あの怪我以来リハビリしたものの僕の左腕はせいぜい山なりの緩い球しか投げられない。
しかし普通にキャッチ出来る様になり何より僕には右腕があった。
僕は右腕で投げれる事を含め人一倍練習して今年“一番二塁”のレギュラーを勝ち取ったのだった。

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