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後始末な人生も悪くないよねって思った
官能リレー小説 - 学園物

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後始末な人生も悪くないよねって思った 7

また肩寄せ合うような狭い車内に乗り込む。
こんなことになるなら、軽といえどももう少し広い車種を選べばよかったと後悔もしてしまう。
まぁ近くにいる方が、唯の巨乳が眼に入らないで済むという点ではよかったといえばよかったんだけど…

「辛いもん食べたから…熱くなっちゃったぁねぇ」
確かに身体の芯から熱さが込み上げてくる。
真夏にカレーは考えもんだ。

「汗かくよな…」
現に俺の着ているシャツは汗で脇が変色している。

「着替えてくれば良かったのに」
「まあ行って帰ってくるだけだから。お前を送ってったらシャワー浴びるさ」
「凌ちゃんってそういうトコ気にしないんだよね」

いや、お前は俺の母親かよ…

【唯視点】

凌ちゃんの運転する車で来た道を戻っていく。
私が一人暮らしするアパートは学校から歩いて5分程度…立地的には最高なんだけどね。

何故私がその部屋を借りることが出来たか。

岸本彩…私の中学の同級生で、今でもこんな私の友達でいてくれる唯一の存在。彼女の親が不動産屋で持っているアパートなのだ。

私はホントは、彩と一緒の高校に通うはずだった。でも、兄の一連の事件のせいで私の合格が取り消されたのだ。

パパがいなくなった。ママもいなくなった。
そして彩との友情にまでヒビが入ってしまった。
完全に行き場を失った私は、もうこの世から消えてしまいたいという思いで、身を投げようとした。それを凌ちゃんに止められた。
あの時は凌ちゃんを恨みたくなった。


凌ちゃんと出会って数日、一人きりになった前のお家で数日間引きこもった。
最初の日は一日中泣いた。ご飯も食べる気がなくなるほど泣いた。
泣き疲れて次の日は一日中寝てた。

2日間何のチェックもしてなかったケータイには、数えきれないほどの、彩からの着信があった。

私は何の反応もしなかったんだ…彩に申し訳なくなった。

彩からの最後のメッセージ。

『どんなことがあっても、私はずーっと唯の味方だから』

……また泣いた。

心の友…
親友って親しい友と書くより、こう書いた方がしっくりくるのは私だけかな?
この件があってから益々そう思うようになった。
彩は私にとって正に心の友…
凌ちゃんに命を救われ、彩の優しさに触れて生きようと思ったんだもの…

「凌ちゃん…よかったら寄っていかない?」
誰もいない独りの部屋に帰るのは、まだちょっと寂しいんだ…

「いいのか?…俺、汗臭いぞ…」
ハンドルを握りながら私に向かい脇を上げる凌ちゃん…
男特有の酸っぱい匂いがツンとくる…

「なんならシャワーくらい浴びてったらいいじゃん!」
「そ、そうかぁ?」
「汗臭い男はレディから嫌われますぞ?」
「いや、俺なんてな…」

まあ私はそんな凌ちゃんも好きなんだけどね。

ちょっと渋った凌ちゃんをなんとか言い包めて私のお部屋に招いた。
お礼に激甘のアイスココアも作って。

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