後始末な人生も悪くないよねって思った 21
できるキャリアウーマン…
そんな近寄り難い雰囲気を醸し出しているキサラさん…
それでも私にとっては救われる存在だ。
「こちらこそです…いつも気に掛けてくださって、ありがとうございます。」
凌ちゃんとキサラさん、今の私に話し掛けてくれる唯一の2人だ…
「ごめんなさいね、いろいろと後始末、、坂倉さん1人に押し付けるみたいことになってしまって…」
それはお兄ちゃんがしでかしたことなんだから、仕方ない。
それにキサラさんだって立場は似たようなもの。
お父さんが兄たちのせいで責任を負い学校のトップを辞した後、急に倒れそのまま帰らぬ人となった。
キサラさんはそのあとの荒れた学校を立て直すためにいろいろ奔走しまくっていると、凌ちゃんから前に聞いたことがある。
「キサラさんだって大変なんじゃ」
「大人はこのような難局でも、決してへこたれず立ち向かうのが使命ですからね」
おおっ、カッコイイっ。
「お互い逆風の中立ち向かって頑張りましょう」
はい!………んんんっ。
『今日2本目のホームランです』
『大量ビハインドの中、エンゼルス唯一の光明ですかね』
心の中で小さくガッツポーズ…
キサラさんとの会話に戻る。
「今日、瀬戸口先生は来てないんですか?」
来ていてこの時間に顔を見せないことは今までなかったことだ。
「あらぁ、瀬戸口先生のこと…聞いてないの?」
??
凌ちゃんとキサラさん以外、話し相手のいない私には、何も聞くすべがないと思うんですが。
「彼、ちょっと体調を崩したみたい」
おうぅうえっ。
それは、それはきっと私のせいだ。
そしてそんなことはキサラさんには絶対に言えない。
校内の腫物コンビである凌ちゃんと私が一夜を共にしかけたなんてバレたら、どう見られるかなんて明らかなのだ。
「そ、そうですか…それは、残念です」
「まあ深刻じゃないみたいだから安心してね」
そう言われても、はいそうですかぁ…と、言うわけにはいかない。
クーラーがガンガンに効いた部屋で、素っ裸でずっと居たのが原因だろうから…
「そんな顔しないの…坂倉さんにとって彼は特別な存在なのね…」
キサラさんに言われて改めて気付く…
私にとって凌ちゃんは無くないはならない存在なのだ…
「お見舞いに行ったら迷惑でしょうか?」
昨日別れる時に凌ちゃんが見せた態度は、確かに迷惑そうだったように思う…
「そうね…女子生徒である坂倉さんが、1人暮らしの彼のうちに行くのは、ちょっと問題かもしれないはね…」
あ、既に行ったことがあるとは…ちょっと言えないな(汗