後始末な人生も悪くないよねって思った 19
「お、おう…」
どこか微妙な表情の凌ちゃんを見届けた後、私は服を脱いでお風呂に入る。
ちょっとは乙女心を理解してほしいんだよ…
「はあ、凌ちゃんのバカ」
ため息とともに出てくるのはそんな言葉なんだけど。
「凌ちゃんのバカ。ばか。ばーか」
なんで顔はにやけてしまうんだろう。
「バカで悪かったな…」
バスルームの扉を開く凌ちゃん…
やだ、聞こえちゃったのか(汗
「ごめん、つい心の声が出てきちゃったぁ」
「謝るのはこっちの方だよ…、俺さ、あんま女の子のこと分かってなくてさ…」
照れくさそうに鼻頭を掻きながら湯舟に浸かる凌ちゃん…
なんだ、一緒に入ってくれるんだぁ☆
まあまあこっちだって迂闊だったから。
それでも素直なのが凌ちゃんのいいところなのかも。
「ほどほどで出るからな」
「はぁい♪」
すぐに態度が変わるのは子供っぽいと昔からよく言われるけど、それが私のいいところでもある、と自信を持って言いたいところだ。
「お前が身体洗ったら俺は出るから」
「うん」
これが凌ちゃんなりの優しさなんだろう…
ちょっと足りない感じもするけど、今はこの不器用な感じが愛おしい…
「ありがと、無理させちゃてごめんね…」
もうワガママ言うのはやめなくちゃいけないな…
「気にすんなって、俺の方こそ体力なくて済まないと思ってんだぜ…」
それって私がまだヤり足りない顔してるからだな…
「ふふふ、じゃあ今度は私が手づくりのスタミナ料理を作っちゃおうかなぁ〜」
「おいおい、それじゃ懲りてないってことになるぞ〜」
冗談ですって。
そこまで凌ちゃんに迷惑かけたら。
それでまた私が気を失ったらまた。
私はそこからは黙って体を洗うことにした。
凌ちゃんはその途中に一言、「ありがとな」と告げた後、あ風呂場を出て行った。