学校裏サイト 2
有料会員になれば、痛い腹も探られず自分の手も汚さずに闇サイトに出入りできる。
しかし、そうすれば生徒会が闇サイトを黙認したこととなり、しかも予算を使ったとなれば癒着を疑われて解任どころか重大な処分を受けかねない。
広い視野で考えれば友人や家族など部外者に依頼してもいいのに、彼女たちは役員としてのプライドやエリート意識が邪魔をしてそんな手段など思いつきもしなかった。
動画投稿によって入会にも大きく二種類に別れた。パンチラなどのエロと内部告発的な内容だった。
前者なら女子ならすぐ自作自演もできた。後者も投書や教師も気を許していて口が軽かったりと情報の蓄積もあるので出すことができる。
ローアングルだろうが顔を隠したり声を変えようが、接触には変わりないし、事が公になればスキャンダルになることには変わりなかった。
※※※
「ちょっとマミ、うまく撮れてるの?」
「会長!声入れないでくださいよ〜」
ここは放課後の学校。
結局会長は動画を投稿することを選んだ。
生徒会の三人は階段で動画の撮影をしていた。
被写体は生徒会長のマドカだ。
この被写体の選定は揉めにもめた。
それぞれが自分を撮れと主張したからだ。
だが、結局は会長の強権と、そもそも機械オンチで動画投稿のための編集などが行えないマドカが被写体に選ばれた形だ。
今回取ろうとしている内容は階段に登っているマドカのスカートの中を盗撮する映像だ。
映像の内容からすれば、マミに話しかけたマドカは論外のようだが、自分が言いだしたこととは言え、不特定多数の人間に自分の恥ずかしい映像がさらされると考えると、さしものマドカも体は緊張で小さく震え、顔の紅潮は隠せなかった。
「なあ、やっぱ止めないか?今なら引き返せるぞ?」
サヤがマドカに忠言を送るが、しかしその言葉はかえってマドカの態度を硬直化させてしまった。
「いいえ、絶対やるわ。マミ!もう一回お願い」
そうして恥辱の撮影は進んでいった。
そしてその日、一本の動画が投稿された。
※※※
【会員様、VIP会員、管理人専用BBS(※普通の人には見えません)】
223:管理人
おやおや〜?
こんなところに動画が投稿されてるぞ〜?
【動画】
224:会員00083
何このクソ動画?
225:VIP会員003
これは生徒会長かな?
※※※※【システムにより自動削除されました】ってやつ
226:VIP会員003
いっけね。名前書いても表示されないんだった。
227:会員00147
今どき盗撮動画とかとり尽くされてるし見どころがない。
なんか自演臭いアングルだけどさ
228:管理人
おお〜会員00147様。お目が高い〜
大当たりです。この動画は生徒会がこのサイトを探るために投稿した自演動画です。
229:会員00074
草
230:会員00147
ありきたりすぎて評価できないわ
誰か指導したげて
231:管理人
それ、いいですね。
VIP会員003様。見てらっしゃいますでしょうか?
この画像を使って役員の一人と接触図っていただけますか?
あなたの好きそうな巨乳の子です。
指導内容はまずはおまかせします〜
【画像】
232:VIP会員003
お?準備いいね〜。
了解。任されたわ
233:管理人
それでは反撃を開始しましょう。
とりあえず生徒会の方々にはGランクを与えときましょうか〜
生徒会の次回作にご期待ください
234:会員00083
ゴミランクとか勇気出して投稿しただろうにかわいそー(笑)
※※※
「何よこれ!」
マドカは思わず激昂した。
自身が勇気を出して投稿した動画の評価が散々だったためだ。
再生数は辛うじて二桁。
コメントが数個ついてはいるが、どれも辛辣なもので、マドカの自尊心を傷つけた。
本来なら自分の恥ずかしい映像が広く知れ渡られていないことに喜ぶべきなのだが、それはそれとしてである。
極めつけは動画投稿に伴い。一部権限が付与されたが、そのランクがどうやら最低ランクだったことがトドメをさした。
「Gランクだと自分が投稿した動画とそのコメントしか見れないんですね。VIP会員にもランクで待遇の差があったなんて、失敗した〜」
「これはなかなか厳しいな。動画投稿者同士がお互いの動画を見れないから、高い権限を付与されるためにはチキンレースを強いられるぞ」
現状は目的である動画サイトの証拠を集めたいにもかかわらず、正直手詰まりな状態だった。
マドカたちは苦虫を噛み潰したような顔で唸るしかなかった。